昨日、NHK教育で放送された障害者によるバラエティー番組『笑っていいかも』が、これまでにない試みで面白かったです。障害をネタに笑いをとるのは、ある種タブーとされる領域にされていますが、そのタブーは、いつの間にか勝手にタブー化されたもので、本当はタブーなんかじゃないと割り切って放送したこの番組は、『きらっと生きる』で障害者への理解を深める番組作りを長年制作してきたスタッフだからこそ生みだせた番組で、うわべだけで障害者を扱う日テレの『愛は地球を救う』にはできない番組ではないでしょうか。脳性マヒブラザーズの漫才なんて、ほんと卑怯です(笑)ネタが面白い面白くないは別にしても、ブサイク芸人やハゲ芸人が自らの特徴となる部分をとことん利用して笑いを取るのと一緒です。以前、乙武洋匡さんがツイッターで、このようなことを書いていて、まったくもってその通りと思ったのですが、『笑っていいかも』は、乙武さんの考える究極のバリアフリーを目指した番組でした。障害者が自分の障害をネタにして笑いを取りに行ったら、それが面白ければ気兼ねせずに笑えばいいんですね。障害者が自らの障害で笑いを取っているのに、あることを思い出しました。それは、笑いではなく演じるという表現で、脳性マヒの方が連続殺人犯の役を演じた映画『おそいひと』です。「障害者に対する偏見や誤解を与える」や「差別を助長する」といった作品は作品として別物と捉えられない人達による声や、障害者が犯罪を犯すなんてとんでもないと、障害者は純真無垢だと思いたい頭の凝り固まった人達による批判が集中し、2004年の完成当初は我が国では公開できず、海外で映画が公開され、映画祭で話題となり、3年後にようやく逆輸入のようなカタチで公開されるということがありました。ドキュメンタリーでは、健気に頑張る障害者しか出てきませんが、障害者だって、妬みを含めた黒い感情が出てきたことがないなんてことは絶対にありませんし、時にはエロイことを考えたりもしています。怠けものな障害者もいますし、障害を利用して詐欺などに走る者だっています。障害をもっているだけで、やっていることや考えることは健常者と同じです。私自身、生まれついての心臓の悪い障害者ではありますが、ドキュメンタリー番組などで、お涙ちょうだいや健気に頑張る障害者といった天使のように扱われるばかりの風潮には違和感を感じています。だから、お涙ちょうだいや健気に頑張る障害者として扱われるだけではなく、障害者が自らの特徴で笑いを取ったり、障害者が健気に頑張っているという役以外で、例えば犯罪者の役を演じるといったようなことや、それこそエロイものまで、これまでの同情の的と違った面で、タブー視されることの脱却に活動したり、こういう人も居ると紹介されていることに嬉しくなります。まあ、度を過ぎると悪趣味と捉えられてしまうのですが、こういったことが自己表現として作品としてタブーとされず、嫌悪感なく受け入れられるようになる社会が、乙武さんの述べる究極のバリアフリー社会ではないでしょうか。ここ数年で、お姉系としてオカマのタレントが増えて、テレビに多く出演するようになり、そういった方への偏見が少し薄れてきましたが、お笑いでもなんでもいいので障害者のタレントがテレビに多く出るようになれば、障害者の接し方が変わり偏見や障害者の方と接するのは難しいんじゃないといった固定概念などが薄れていくのではないでしょうか。