先週から『ゲゲゲの女房』は、ついに水木先生の長年の苦労が報われ、大手雑誌に「テレビくん」が掲載され、講談社マンガ賞受賞し、戦争と貧乏のどちらが辛かったと聞かれると「貧乏」と答えるほど、苦しんだ極貧生活からもようやく脱出します。19日放送分から、少年マガジンで読み切り連載だった「墓場の鬼太郎」が週刊化され、一気に評価がうなぎ登り人気漫画家の仲間入りを果たし仕事の依頼が殺到し、つげ義春氏や池上遼一氏がアシスタントとして登場、気が狂いそうなほどの忙しさに突入することになります。さて、『ゲゲゲの女房』がスタートしてから、ドラマをきっかけに貸本時代などの作品にも興味を持つ人が増えたのか、各出版社もマンガの増刷ラッシュという話を聞いていますし、私が、いつも行く大型書店には、数年前から水木しげるコーナーが設置されているのですが、ドラマの影響でマンガが多く売れるようになったのか、棚の空きが目立つようになりました。角川文庫の『貸本版・墓場鬼太郎』なんて完売状態です。2年前のアニメ化の時だって、そんなに売れている気配はなかったのに。水木先生のマンガといえば10年一度アニメ化されている『ゲゲゲの鬼太郎』や実写やアニメになった『悪魔くん』が代表作として挙げられますが、それら以外にも、代表作の一つに挙げられながらも、あまり知られていない長編漫画『河童の三平』や、秀作が多い子供から大人向けに描かれた短編や風刺、伝記ものこそ、自由奔放に描いている分、水木先生の人生観からにじみ出たニヒリズムが本領発揮されていて哲学的であり面白いと思います。ドラマをきっかけに他の作品にも目が向かれて、水木しげる=妖怪マンガだけという間違った評価が変わるようになれば、水木作品ファンの1人としてもこの上なく嬉しいことはありません。ところで、以前にNHKが星新一先生のショートショートをアニメや実写にして毎週放映していましたが、あんな感じで、水木先生の短編をさまざまなクリエイターによって映像化する番組が見てみたいです。