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2010年06月30日(水) 死力尽くした日本代表

「PKを決めても誰も覚えていないが、外したら誰もが忘れない」

「PKを外すことができるのは、PKを蹴る勇気を持った者だけだ。」

by ロベルト・バッジョ

1994年アメリカ大会決勝戦、
ブラジルとのPK戦で最後に彼がはずしてブラジル優勝の後、語ったとされる言葉。



日本、パラグアイにPK戦で屈す=スペインはポルトガル下す(時事通信 6月30日)

ベスト8への扉は重く厚いものでした。

ただ一言「悔しい」しかありません。

でも、よくここまで戦えたという清々しい気持ちもあって複雑です。

悔しい気持ちになるのは、

PK戦までの120分間失点もせず抑えていたから、

PK戦も含めて勝てるチャンスがあったからです。

ズタボロにやられた試合なら、悔しさの感情は芽生えていなかったでしょう。

たった一つの失敗によって負けが決まってしまうPK戦で負けることは、

90分もしくは120分の試合で負けることより残酷です。

選手やキーパーは試合以上に重圧が伸しかかるなかで、

失敗した選手は、国民から責められることもあるし、

また、どれほどの慰めや励ましの声を掛けられても、

どうしても失敗した選手は自分を責めて悔み落ち込むから、

できることならPK戦での負けは見たくはありませんでした。

でも、PKはどんな素晴らしい選手だって失敗する時は失敗するのですから、

駒野選手は、しばらくは落ち込むでしょうが、

スッキリした気持ちで帰ってきてほしいですね。


日本の試合が終わってから行われたスペイン×ポルトガル戦は、

ハイレベルの試合を見せつけられました。

これが世界との差なのだと痛感しつつ、

願わくば、このレベルの試合をしている勝者(スペイン)と戦い、

世界との差を痛感する日本を見たかったという気持ちもありました。


日本は今回の戦いで、集中力を切らさず組織的な守備が

世界に通用することは確認できました。

ただ、やはり攻め手があまり無かったのも手に取るように分かりました。

リズムの変化が無く、展開も小さく遅い。ゴール前で焦ってしまったり、

最後の部分での意外性や精度も足りませんでした。

堅守を継続しつつ、その部分を改善出来なければ、

ベスト16以上は望めません。

守備の意識はこのままで攻撃のバリエーションを増やすことが、

これからの日本が目指すべき戦い方ではないでしょうか。


開幕前はベスト16はおろか、1勝を上げることもできない、

最悪三連敗もありえると思っていただけに、

この予想以上の活躍には本当に驚かされましたし、

実によい気分も味わえました。

改めて、これまで批判していたことを心よりお詫び申し上げます。


岡田監督のもとでの日本代表はこれで幕を下ろしますが、

次のブラジルW杯に向けての戦いはすでに始まっています。

今回の敗戦は絶望ではなく希望に繋がるものになりました。

この4戦の戦いで得た教訓を無駄にしない新しい代表を期待しています。


あらためて、選手、岡田監督、スタッフに心からの拍手を送りたいと思います!

15日間の激戦、本当にお疲れさまでした。

フランス、日韓、ドイツのどの日本代表より、

心に残る、そして見た人の心に熱い何かを呼び起させた代表です。

胸を張って日本へ帰ってきてください。







名塚元哉 |←ホームページ