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2010年03月13日(土) 島本和彦の伝説の名作『ゲキトウ』が完全版にて発売!

今を遡ること21年前、

私が島本和彦先生のマンガの虜になるきっかけを作ったのが『逆境ナイン』でした。

その続編として『ゲキトウ』が講談社『イブニング』で、2003年に連載開始されました。

主人公である不屈闘志(ふくつとうし)が、

高校を卒業してからプロ野球に挑戦するストーリーかと思いきや、

不屈がプロ野球選手を引退して10年後のお話です。

しかも、引退してから10年経つのに、

またプロ野球に再挑戦するべく合同トライアウトに参加する不屈。

なぜ、もう一度、プロ野球選手への道を志すのか?

それには、不屈の子どもが関係しているのですが・・・。

詳しく書くとネタバレになるので、この辺で止めておきますが。

序盤からじわりじわりと盛り上がって行き、

不屈闘志と言えば、忘れちゃいけないのが投げる魔球「男球(おとこだま)」

自分自身の魂をボールに乗り移らせて投げるのです。

ボールにギョロリと目が出てきて、打者を睨みつけ、

「ウオォォーッ」と叫びながら迫ってくる。

しかも、ボールには当然意志があり、右に曲がったりと上に上がったりと自由自在。

これまでのスポ根野球漫画にも「魔球」は数多く存在してきたけれど、

これほど恐ろしい魔球は存在しないでしょう。

この魔球で高校野球地区大会決勝9回表109点差のゲームを逆転勝ちしたぐらいですから。



そんな魔球を投げていた不屈が、

この『ゲキトウ』で見せた魔球が「樹齢千年(ジュレイサウザンド)」


↑今度は、魂以外にも自分の歩んできた歴史をも球に込めたため、
バッターには、まるで樹齢千年の巨木が迫ってくる錯覚を与える。

これを見たときは、もう感動しました気分が一気に高まりました。

ああ、やっぱり島本和彦はスゴイことを平然と描いてしまうと。

新魔球も登場し、トライアウト編が終わり、

これからプロ野球に復帰し、どのように話が進んでいくのだろうと期待していたら、

雑誌では「次号は休載します」となっていました。

次号休載なので、次々号を買ってビックリ!

どこにも『ゲキトウ』が載っていなかったのです。

読者投稿や編集部のメッセージなどを載せているページの最後に、

島本和彦氏「ゲキトウ」は17号にて第1部終了となりました。
発表が遅れて申し訳ありません。現在は長期構想中です。
ご理解の程よろしくお願いします。



マンガでの第1部完といえば、

そのほとんどが第2部をスタートすることは永遠にありません。

ようするに、諸事情でそのまま打ち切りになった

たった3行の告知でひっそり終了した全16話の『ゲキトウ』なのでした。

コミックスは連載中に9話まで収録された第1巻が発売され、

連載は終了したものの、

残りの7話で第2巻が発売されると思いきや、

なぜか第2巻は発売されることはありませんでした・・・。

盛り上がってきた物語の続きも「樹齢サウザンド」も多くの人に読まれることもなく、

そのまま封印された状態になってしまい、

島本ファンの間では「2巻は出ないのか」と毎年必ず話題に上っていたのですが、

本日、6年ぶりに全16話収録の完全版として発売されました。



ああ・・・これで、ようやく雑誌は読まずコミックスで買う派の島本ファンや、

多くの人の目に、この作品が読まれることになるのです。

島本作品に欠かすことのできない熱い名言も多いですらから、

本当に日の目を見て良かったです。

完全版のあとがきに、「続きが読みたい!」と島本先生自身も語っているように、

私も続きが読みたくなりました。

この後の構想もちゃんとあったということですし、

島本先生は毎年のコミケにも出店されているので、

機会があれば同人誌で続きを描いて頂けたらなぁと思いました。











名塚元哉 |←ホームページ