【ツムラ・芳井社長】漢方薬の“保険外し”に反発‐「事業仕分け」の結論を一蹴内閣府の行政刷新会議が実施した「事業仕分け」を受け、漢方薬等の市販品類似薬を保険適用外とする方向性で結論が下されたことに関し、「漢方医学の現状を知らない人たちの議論。なぜこういうことになるのか分からない」と強く反発。民主党のマニフェストで、漢方医学を取り上げている矛盾を指摘し、「明らかにマニフェストと違う方針であり、漢方医学を知らない人だけの議論で、保険適用外の話が進められるはずがない」と一蹴した。 (薬事日報 2009年11月13日)次世代スパコン「予算削減」 事業仕分け3日目来年度予算要求の無駄を洗い出す行政刷新会議の「事業仕分け」は13日、3日目の作業に入った。文部科学省所管の「次世代スーパーコンピューター」の技術開発(概算要求額約270億円)は、財政難などを理由に予算総額の削減を求めた。地方交付税については、仕組みが複雑で非効率な予算執行があるとして「制度の抜本的な見直しを行う」と結論づけた。 独立行政法人・理化学研究所が開発を進める次世代スパコンは、世界最高レベルの演算性能を目標に12年度の完成を目指し、神戸市のポートアイランドで建屋の建設が始まっている。これまで、今年度分を含めて計545億円の国費を投入。完成すれば、大気や海流など地球レベルの気候変動の予測や、地震による災害シミュレーションなどの研究のほか、ナノテクノロジー分野での産業利用などが見込まれる。 だが、仕分け人は「国民の目線で言うと世界一にこだわる必要があるのか」などと指摘。研究所側は「サイエンスには費用対効果がなじまないものがある」と反論したが、来年度予算の計上を見送るなどの予算削減が必要とした。 (朝日新聞 2009年11月13日13時23分)『科学』傷だらけ iPS細胞生んだ事業や科学未来館「国が掲げる科学技術立国が揺らぎかねない」。十三日の行政刷新会議の事業仕分けで、科学技術関連の事業が続々とカットの判定を受けた。「不要不急の事業」を削ることが仕分けの目的とはいえ、将来、日本の科学技術研究を担う若手にも余波が及ぶ。「頭脳流出に拍車がかかる」。関係者に危機感が広がった。 「科学技術への理解増進を否定するのでしょうか」。日本科学未来館(東京・青海)の館長を務める元宇宙飛行士の毛利衛さんが口調を強めた。 同館も仕分け対象になり、毛利さん自ら仕分け人と対峙(たいじ)した。だが、判定は「予算削減」。毛利さんは、組織改革の必要性などを主張できたことに「プラスに考えていきたい」などと語った。 ほかに審査を受けたのは、次世代スーパーコンピューター(スパコン)、和歌山毒カレー事件で使用されたヒ素の科学鑑定に威力を発揮した大型放射光施設「スプリング8」(兵庫県)、科学掘削船「ちきゅう」など。 仕分け人は「経費削減の余地がある」など次々と厳しく指摘。「無傷」な事業はなく、いずれも廃止や予算への計上見送りや削減が求められた。 「こちらから事業の意義などを話させてもらえるのかと思ったが遮られてしまった」と話すのは、独立行政法人・科学技術振興機構の北沢宏一理事長。 先端研究に助成する競争的資金事業は同機構や文部科学省などが行っているが、仕分け人は「重複しており、総予算が膨らんでいる」と判断。一元化も含めて縮小することを求めた。 北沢理事長は、一時間という審査時間の短さを挙げ、「この事業資金による研究で生まれた人工多能性幹細胞(iPS細胞)などの成果をアピールできなかった」と残念がった。 また、世界トップレベルの国際研究拠点をつくる事業も、拠点を増やすために予算増を求めていたが、「成果を見極めたい」と予算減になった。 拠点の一つ、東京大学の数物連携宇宙研究機構は、米国から日本に呼び戻した世界的な物理学者がトップを務める。文科省の担当者は「著名な賞の受賞者が出るなど、ようやく軌道に乗ってきたところ。予算が減れば、トップの研究者が、米国に帰ってしまうかもしれない」と心配した。◆『優秀な若手流出する』 奨励金『削減』 「納得がいかない。当事者なのに意見も言えないのか…」。若手研究者育成のための「特別研究員事業」。十三日の行政刷新会議の事業仕分けで「削減」の評決を受け、傍聴に訪れた東京都内の国立大大学院二年の男性は悔しそうに話した。 トップクラスの若手研究者に対する奨励金事業で、博士課程の学生や博士課程を修了したポストドクターに月二十万〜四十五万円が支給される。 男性は今年、合格率数%の難関を通過。十月に内定通知を受け、家族や友人と喜んだばかりだ。事業仕分けの対象となったのを知り、「いても立ってもいられなくて傍聴に来た」という。 地球環境をテーマに、休日を含め毎日十二時間以上、研究漬けの毎日。「今は奨学金を借りているけど、来年三月で切れる」と話し、月二十万円の給付に期待していた。 男性は「ポストドクターが多すぎる問題ばかりが議論されていたが、その問題と研究者支援は別次元の話。制度が削減されたら、学者になれるのは金持ちだけ。国を恨んで海外に行く優秀な人材が続出するだろう」と事業仕分けの議論を批判した。(東京新聞 2009年11月14日)朝日新聞 2009年11月13日事業仕分け 科学予算バッサリ、毛利館長も防戦------------------------------(引用終了)---------------------------事業仕分けについては、無駄なものは省けばいいし、公開で議論が行われることも評価していますが、本来、マスメディアが削減や廃止される事業を細かく紹介し、小泉政権時代の「痛みを伴う構造改革」と似たようなこともあり、事業仕分けによって痛みを受ける人と痛みを受けない人に分けられるので、予算を要求している独立行政法人などは痛みを受けるのは当然ですが、見直しによる削減や廃止によって一般の国民が受けるメリット以外にも、デメリットも検証する必要もあるのではないでしょうか。しかし、メディアによって伝えられる情報の多くが、予算を削減または廃止の判定を受けた側の不満の声や、見た目に派手な、事業仕分け初日の蓮舫氏が無礼な態度で態度で質問していた、独立行政法人「国立女性教育会館」の女性理事長との対立部分ばかり映像で流れたり、本当に無駄な部分が多い事業が例として紹介されるだけで、重要な情報を伝える役割や義務を放棄しています。また、教育や文化芸術、医療、科学分野においては未来への投資でもあり、たった1〜2年で成果が出るものでもないので、もっと検証する時間があってもいいんじゃないかとも思いますし、とくにIPS細胞の分野はこれからさらに必要とされるものなので、優秀な人材は、資金のことを気にせずじっくり研究ができる海外に流出するでしょうね。これまでにも海外へ研究拠点を移した研究者や科学者は多くいたのですから。あと、無駄だ無駄と予算をカットする側である政治家も、自らも痛みを共有するといった意味で、議席数確保のためだけに存在しているような議員も含めた多すぎる議員数や政党助成金と議員歳費も半減すればいいのにと思います。