私が尊敬する人物の一人である白洲次郎氏。白洲次郎ファンとしては見逃せない作品が、NHKドラマスペシャル『白洲次郎』です。春先に第1話と2話が放送されましたが、吉田茂役の原田芳雄さんが急病で、撮影が延期したため、放送が伸びに伸びて、今週に三夜連続放送となり、昨日、待ちに待った第三話(最終話)を観ることができました。ドラマ化が決まったと知った時は、今の日本に白洲次郎を演じれる俳優なんて存在しているのだろうか、自分の中で、白洲次郎を演じれるイメージで、かろうじてOKなのは、舘ひろしさんぐらいしか想像がつかず、万が一にも、何でもジャニーズタレントが起用されるこのご時世、白洲次郎役にジャニーズのタレントが起用されたら、最悪だし絶対に見ないと決めていましたが、正式決定したのは伊勢谷友介さんで、一安心。伊勢谷さんについては、日頃、ドラマや映画をほとんど見ないこともあって、よく知らなかったのですが、実際の白洲氏とは違って少しシャープな印象を受けるものの、ドラマを通してみると、気品のなかに野生の狼を感じさせるような強みもあり、男から見てもカッコイイと思えるほど、見事な白洲次郎を演じておられました。白洲正子役の中谷美紀さんも、白洲正子さんに似ていて、きっと、立ち居振る舞いや話し方を、生前の映像を見て研究されたと思えるほど、ご本人のイメージを壊すことなく、お二人の配役は成功だったのではないでしょうか。他の役者さんたちも演技派を揃えており、重厚なドラマに仕上がっていました。カメラワークなども、時間をかけて撮影していたのでしょう。さすがNHKと言わざるを得ません。すべてにおいて充分に楽しめた4時間半のドラマでした。あと、個人的には、最終話の国会の証人尋問の場面で、ウルトラマンの歴代の俳優さんが出演されていたので、そのサプライズも楽しんでしまいました。「「気づいた人だけ喜んでね。」というディレクターさんの遊び心なんでしょうか。己の信念(プリンシプル)に従い、終戦後を懸命に生きる日本人と、これから先の世代のことを考え、表舞台に出ることはなく、裏方として日本の復興に尽力を注いだ白洲氏。現在の政治家も少しは、私利私欲ではなく、本当に大切なことのために努力するこの志を見習ってほしいものですね。日本のドラマのソフト化では、この先、DVDは買うことがあったとしても、ブルーレイ版を買うことはないだろうと思っていましたが、『ドラマ・白洲次郎』はブルーレイ版を速攻で予約しました。ドラマの原案になった書籍関連日記:2005年09月08日(木) 生涯、紳士であり続けた日本人