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2009年06月19日(金) 「脳死は人の死」とするA案、衆院通過

臓器移植法改正A案、衆院可決 年齢制限を撤廃 「脳死は人の死」基本に

衆院は18日の本会議で、脳死後の臓器提供の年齢制限を撤廃し、
本人が生前に拒否しなければ家族の同意で提供を可能にすることで
提供の機会拡大を目指す臓器移植法改正案のA案を賛成多数で可決した。
A案の参院審議入りは24日以降になる見通し。
野党が多数の参院では、民主党などにA案の条件緩和に慎重な議員が少なくない。
民主、社民両党の有志議員は対案を提出する方針で、成立には曲折が予想される。

A案は0歳から15歳までの臓器提供を新たに認め、
子供の国内での臓器移植に道を開く。脳死を臓器提供に限って認める現行法に対し、
A案は「脳死は一般に人の死」と位置づけた。

 臓器移植法案の採決は平成9年以来12年ぶり。
共産党をのぞく各党は「死生観にかかわる」として党議拘束せず、
議員個人の判断で投票した。
共産党は「議論が尽くされていない」として全員棄権した。
衆院の投票総数430票のうち賛成263票、反対167票で、
欠席・棄権は47人。

 改正案は国会への提出順に、A案と、
移植可能年齢を12歳以上に引き下げるB案
▽脳死判定基準を厳格化し、当面子供の臓器移植を認めないC案
▽15歳以上は現行法を維持し、
15歳未満は家族の承認などを条件に提供を認めるD案の4案だった。
最初のA案が可決されたため、残る3案は採決されなかった。

 現行の臓器移植法は9年6月に成立。
本人が生前に書面で提供意思を表示し、
家族が同意した場合に限って脳死を人の死とし、臓器摘出を認めている。
だが、世界的にも条件が厳格で、脳死下での臓器提供は81例にとどまっている。
臓器移植が必要な日本人患者がやむなく海外で移植を受けるケースが相次いでいる。

 国際移植学会は昨年、海外渡航移植を禁ずる宣言を出し、
世界保健機関(WHO)も追認する方針。
国内での条件を緩和し、子供の臓器移植に道を開こうという機運が高まっていた。

衆院可決を受けて、与党はA案成立に動いている。
18日の参院議院運営委員会理事会で、自民党は19日の審議入りを求めたが、
民主党は「早急だ。対案準備に時間がいる」と拒否し、結論が出なかった。

 民主党の鳩山由紀夫代表は同日、記者団に「衆院で結論を出したので、
できる限り参院でも急ぐ」と述べた。だが参院民主党幹部は
「(7月28日までの)会期中にやればいい」と慎重姿勢を示した。

 これに関連して、民主党の輿石東参院議員会長は18日、
「最優先とは思っていない。急がなければ死んでしまうという話でもない。
一日も早く救いたい気持ちは分かるが」と述べた。

 民主党の森ゆうこ、社民党の近藤正道両参院議員らは同日、
脳死の定義を厳格化し、当面子供の臓器移植を認めない
C案を基本とする修正案をまとめ、参院への提出準備に入った。

 この日の採決では、麻生太郎首相(自民党総裁)、公明党の太田昭宏代表、
民主党の鳩山由紀夫代表がいずれもA案に反対した。
麻生首相は18日夕、国会内で記者団に「臓器移植を望んでいる方々に
立法府が結論を出したのは良かった」と述べた。

(産経新聞 6月19日8時6分)


臓器移植法改正案、解散にらみ審議…参院採決7月以降に
【米国ブログ】日本は臓器移植の必要性を理解すべきだ

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昨日、臓器移植法改正案(A案)が衆議院で可決しました。

これから、参議院に持ち込まれ、審議されるので、

参議院でもA案が可決して正式に決定するかどうかは不明であり、

民主党には慎重な議員が多いので、 参院で修正されるかもしれません。

まだ、正式に決定したわけではありませんが、

昨日の結果を受けて、

大手既存メディアやネット上で活発な議論が展開しています。

「脳死を人の死とするか」と「臓器移植」については、

人の生命に関わる問題であることと、

もっとも、死という日本人が避けてきたナイーブな問題でもあり、

これらは、感情論、死生観、宗教観、人生観、価値観が含まれていることもあって、

これらの考え方は人によって様々で、

議論を尽くしても、全員が納得できることはないでしょう。

日本においての臓器提供反対派の中で、一つ疑問なのが、

日本人の脳死ドナーから日本人患者への臓器移植はダメで、

なぜ、外国に行って外国人の脳死ドナーからの

臓器提供ならOKとしているのかということです。

日本人の脳死を人の死と認めないのであれば、

海外人の脳死も認めず移植も反対となるのですが、

ネット上で、A案可決を反対している人で、

海外での移植にまで触れる人は皆無でした。


今後、仮に参院でもA案が可決され、脳死は人の死として、

年齢制限撤廃で子供の臓器提供ができるようになったとしても、

脳死状態の患者は有無を言わさず、

臓器提供しなければいけないわけではなく、

A案は法的脳死を人の死と位置づけているだけで、

家族の拒否で法的脳死判定は回避できます。

脳死状態でも今までどおり「治療」を受けさせたい家族、

臓器を提供したいと考える家族、

今回の法案は両存できるわけで、

最終的には、臓器提供するしないは、

本人もしくは子供の親が決めることであって、

法案が可決されたからと言って、

必要以上に騒ぐことも、

他人が、その立場の人の意思にとやかく言う必要もないように思えます。

それでも、正式に可決された場合、

脳死したのだから臓器提供があたり前という風潮になって、

脳死状態の子供をもち看病を続けている家族に、

バッシングが及んだり、

それとは逆の立場の、臓器移植提供を待つ患者の家族にも、

バッシングが及ぶことの方が懸念されるだけに、

双方の立場の家族に対する配慮が出来るかどうかの重要な問題となり、

双方の家族の心のケアの保証も加えられるべきではないでしょうか。

そして、一つ思うのは、脳死は科学的、医学的に人の死とされ、

今後、正式に子供も臓器提供が出来ると決まっても、

欧米のように肉体は入れ物で魂だけがあの世は行くという宗教観とは違い、

日本の場合は、魂と一緒に肉体そのものもあの世へ行くという

宗教的・社会的・文化的なコンセンサスが根付いているように、

宗教観と死生観が欧米とは違うので、

特に子供の臓器提供は、なかなか出てこないように思えます。


最後に付け加えておきたいことは、

家族が急に脳死になったら混乱するのは当たり前ですし、

自分もどうなるか分かりません。

元気な時から、脳死になったら臓器を提供する、

提供しないと心の準備をしたり、

また、万が一にも、

自分や家族が臓器提供しか生き残れる道がないような重い病気になった場合、

臓器提供を受けるのか否かも含めて、

一度、これをきっかけとして、

家族同士で話すことも大事ではないでしょうか。







名塚元哉 |←ホームページ