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2009年01月02日(金) 「押し紙」という新聞社の「暗部」

新聞の20%以上は配達されない 「押し紙」という新聞社の「暗部」
(連載「新聞崩壊」第4回/フリージャーナリスト・黒薮哲哉さんに聞く)


(一部抜粋)

読売1000万部、朝日800万部、毎日400万部……巨大部数を誇る全国紙。
それだけ影響力が大きい「証」でもある。
しかし、その部数に「暗部」を指摘する声もある。
「押し紙」と呼ばれる配達されない新聞だ。
全体の2割以上はある、というのが関係者の見方だ。
ただ、新聞社側はその存在を認めていない。
この問題に詳しいフリージャーナリストの黒薮哲哉さんに話を聞いた。

 悲鳴を上げる販売店が増え始めたのはここ5〜6年

――押し紙問題(*メモ参照)は、最初はどういうきっかけでいつごろ始まったのでしょうか。

黒薮 はっきりしませんが、かなり昔から続いています。
ただ、初期のころは新聞の部数が伸びていたときで、
新聞社がノルマとして多めの新聞を搬入しても景品をつければ読者を
増やすことは難しくなかった。
だから販売店にとってそれほど大きな負担ではなかったようです。

――それが販売店にとって迷惑なものへとその性格が変わったのはいつごろからですか。

黒薮 これもかなり以前からですが、本当にひどくなって悲鳴を上げる
販売店が増え始めたのはここ5〜6年でしょうか。

――そもそも販売店は、なぜ押し紙を断らないのでしょうか。

実際には読者から集めることができない押し紙分の「新聞代」を負担して
新聞社に納めないといけない訳で、損をするのではないですか。

黒薮 まず、新聞に折り込むチラシの収入があります。
チラシの搬入枚数は、販売店が扱う新聞の総部数に準じるので、
押し紙で部数を増やせばチラシの枚数も増える仕組みになっています。
ですから押し紙が多ければ多いほど、チラシの収入も増えます。
さらに新聞社が販売店へ補助金を支給します。
つまりチラシの水増し収入と、押し紙で生じる損害を相殺するカラクリがあるのです。
しかし、最近はチラシ収入が激減しています。
補助金の全体像は正直つかめていませんが、少なくとも増えてはいないようです。
当然、販売店は押し紙の損害を相殺できなくなってきました。
それにもかかわらず新聞社と販売店の力関係は、販売店が圧倒的に弱者です。
押し紙を断れないのです。
それで不満の声を上げる販売店主たちが出始めた、というのが現状です。

――実際にどの程度が押し紙なのでしょうか。

黒薮 全国的なデータはありません。
個別の販売店を取材してきた私の推測では、おおむね3〜4割は押し紙だとにらんでいます。
もっとも地方紙は別です。地方紙の場合、押し紙をしてでも大部数にみせかけ、
広告の媒体価値を競い合う必要性は全国紙に比べて薄いようです。
書類の上では押し紙はないことになっている

――4割というのはちょっと多すぎる気もしますが、具体例はありますか。

黒薮 新聞社も販売店名も分かっています。
例えば九州地区のある全国紙の販売店では、07年秋に総部数2010部となっているところ、
本当に読者に配っていたのは1013部でした。
押し紙が997部、5割弱という計算になります。
大阪では押し紙が7割という店もありました。
首都圏の少ないところでも2割はあるかな、というのが実感です。
必要な予備紙を計算に入れても実態は大して変わりません。

――新聞社側は、押し紙の存在を認めているのでしょうか。

黒薮 認めていません。違法行為なので認めるわけにはいかないのでしょう。
実際、販売店側が作る書類の上では押し紙はないことになっています。
新聞社から、拡販しろというプレッシャーが強く、
新聞拡販のノルマが達成できなければ、「怠け者」と見られてつぶされかねません。
そんな状況で、自ら「実配部数」欄に押し紙を含んだ数を書き入れて、
営業成績をよく見せるケースがあるのです。
しかし、新聞社側からすれば、販売店が勝手にウソの数字を書き込み、
信頼関係を裏切られたと主張することも可能なのです。


<メモ:押し紙問題>
新聞社が、個人経営などの新聞販売店に対し、
実際に読者に配達している部数より多くの新聞を「押しつけている」とされる問題。
配達時に新聞が濡れたときなどに備える必要な「予備紙」
(注文部数の2%まで)数を大きく上回っていると見られている。
新聞社にとっては、部数が多いことは紙面広告を取る際に有利に働くことが
背景にあると指摘されている。独占禁止法で禁じられている行為だ。
例えばこういう仕組みだ。新聞社がある販売店に1000部を搬入する。
しかし、その販売店が本当に配っている新聞は800部だとする。
するとその差の200部の大半が「押し紙」ということになる。
対外的には、「この地区でうちの新聞は1000部も読まれています」と
主張するという訳だ。新聞社側はその存在を認めていない。

(J-CASTニュース 2009/1/ 2)


-----------------------------(引用終了)----------------------------

新聞の「押し紙」については、

本や雑誌などで読んで知っていることは知っていましたが、

「押し紙」が与える販売店へのダメージも問題ですが、

なによりも、押し紙の率が発行部数全体のうち20%だとすると、

嘘の発行部数を信用して、

折り込みチラシのために広告料を払っている

広告主に対しての詐欺になっているのではないでしょうか。

よく新聞の勧誘で、3か月分購読料がタダで、

全国共通お買い物商品券1万円分と、

お米やらビール券やらを特典として付けるから、

新聞を購読してくれってのがありますが、

(バブルの頃は、もっと特典が豪華なこともありました。)

あれだけサービスしても儲けがあるというのを

不思議に感じたりもしましたが、

「押し紙」よって誤魔化し得た広告料によって、

新聞社が損をしないという、

そのサービスが成り立っているのではないかと考えます。

また、各新聞社は環境保護活動に積極的になったり、

紙面で問題を訴えかけたりしていますが、

印刷しても、読まれもしないで処分される

新聞やチラシのことを考えれば、

森林資源のムダにしかなっておらず、

エゴは存在してもエコロジーにはなっていません。

これでは、俗に言う「エコエコ詐欺」です。

実際問題、ネットの台頭による部数減と広告減で、

各新聞社は赤字経営だそうですが、

「押し紙」というインチキだけではなく、

「再販制度」と「独禁法」の特殊指定に守られていながら、

それでも赤字になるということは、

情報メディアとしての役割が終わりつつ証拠であり、

今の新聞は、政府の保護にすがって、

ろくな競争に晒されること無く、

既得権益が守られ潰れないという護送船団方式企業の怠慢が、

逆に自らの衰退を招いていくという典型的なパターンではないでしょうか。


参考リンク:
毎日新聞140万部“水増し詐欺”の決定的資料
「押し紙」率7割!老舗販売店経営者が直言「毎日新聞は癌末期」











名塚元哉 |←ホームページ