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2008年11月01日(土) 敗戦国ですから

空自トップを更迭 懸賞論文で「日本の侵略ぬれぎぬ」
航空自衛隊トップの田母神(たもがみ)俊雄・航空幕僚長(60)が
「我が国が侵略国家だったというのはぬれぎぬ」と主張する論文を書き、
民間企業が主催した懸賞論文に応募していたことがわかった。
旧満州・朝鮮半島の植民地化や第2次大戦での日本の役割を一貫して正当化し、
集団的自衛権の行使を禁じる現行憲法に疑問を呈している。
政府見解を否定する内容で、浜田防衛相は31日、田母神氏の更迭を決めた。

 政府は同日深夜の持ち回り閣議で、田母神氏を航空幕僚監部付とする人事を承認した。

 政府は95年に、植民地支配と侵略で「アジア諸国の人々に、
多大の損害と苦痛を与えた」とした村山首相談話を閣議決定した。
麻生首相も継承する考えを表明している。

 実力部隊を指揮する制服組の高官が、アジアでの日本の侵略行為を
公然と否定したことは、麻生政権のアジア外交にとって痛手となる。
武器使用制約の緩和など自衛隊の運用政策にも踏み込んでおり、
文民統制(シビリアンコントロール)の観点からも問題視されることは必至。
野党各党は国会で政府の責任を追及する構えだ。

 浜田氏は31日夜、防衛省で記者団に「政府見解と明らかに異なる意見を
公にすることは空幕長として不適切で、速やかに職を解く」と述べた。
麻生首相周辺によると、首相は同日夕に論文を読んで「不適切」と判断し、
更迭に向けた調整に入ったという。
首相は同日夜、首相官邸で記者団に「個人的に出したとしても、
それは、今、立場が立場だから、適切じゃないね」と語った。

 田母神氏は同日夜、東京都内の自宅で取材に応じ、
更迭について「政府の指示に淡々と従います」と答えた。
論文の内容については「来週以降に答えます」と述べた。

 論文の題は「日本は侵略国家であったのか」。
ホテルチェーンなどを展開するアパグループが主催する
第1回「真の近現代史観」懸賞論文の最優秀賞(賞金300万円)に選ばれた。
同社は31日、ホームページで論文を公表。防衛省詰の報道各社に
報道発表文を配布したことから、投稿の事実が明らかになった。

 論文は日中戦争について「中国政府から『日本の侵略』を
執拗(しつよう)に追及されるが、我が国は蒋介石により日中戦争に
引きずり込まれた被害者」と主張。旧満州、朝鮮半島について日本の植民地支配で
「現地の人々は圧政から解放され、生活水準も格段に向上した」としている。

 日本の安全保障政策についても「集団的自衛権も行使できない。
武器使用も制約が多く、攻撃的兵器の保有も禁止されている。
(東京裁判の)マインドコントロールから解放されない限り
我が国を自らの力で守る体制が完成しない」と、抜本的な転換を求めている。

(朝日新聞 2008年11月1日0時40分)


<田母神・空幕長更迭>制服組「確信の暴走」、問われる文民統制

◇日中韓首脳会談控え、政権また打撃

 田母神空幕長の更迭により、世界的金融危機や景気悪化への対応に追われる
麻生政権はさらなる逆風にさらされることになりそうだ。
インド洋での給油活動を延長する新テロ対策特別措置法改正案の
国会審議に影響するだけでなく、政権の歴史認識を問われる事態にもなりかねない。
12月に予定される日中韓首脳会談のホスト役である
麻生太郎首相にとって冷や水を浴びせられた形だ。

 田母神空幕長の論文内容が浜田靖一防衛相から首相官邸に伝えられたのは
31日午後6時ごろ。報告を受けた首相は、記者団の質問に「全然知らない。
個人的に出したとしても立場が立場だから適切じゃない」と苦笑交じりに答え、
平静を装った。しかし、政府高官は「確信犯としか思えない。
政府方針と反する点は問題だ」と困惑を隠さなかった。

(毎日新聞 11月1日9時12分)


時事通信 批判控えめ、冷静に対応=空幕長論文で中韓

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これが“問題とされる”論文です。
http://www.apa.co.jp/book_report/images/2008jyusyou_saiyuusyu.pdf

論文にはツッコミどころ満載で賛同できる部分は少ないのですが、

人それぞれ考え方が違うので、細かい感想はあえて控えます。

ただ、確信犯的であったとしても、

立場上、多くの人に迷惑や誤解を与えてしまうので、

定年後に言うべき内容だったのではないかと思います。


戦争というのは、どの国であれ加害者にもなるし

被害者にもなるという両面が必ずあるわけで、

どちらか一方だけを見て戦争の全てを語ることは不可能なことです。



最後に、以下の産経新聞の締めくくりの文章を引用します。

繰り返される「過去の歴史発言」での更迭

「言葉狩り」のような更迭劇が続くのは健全とは言い難い。
確かに田母神氏の論文の内容は政府の公式見解と異なる。
しかし、「過去の歴史」の判断は事実の検証の仕方や立場などによって異なるのは当然だ。
政府の公式見解が、綿密な検証や議論によって作られてきたかも疑問だ。

 日本が「真の歴史認識」を構築するためには、たとえ政府部内であっても、
自由に議論を交わせる土壌があってもいいのではないか。
田母神氏の更迭は「過去の歴史の呪縛」を示している。

(産経新聞 10月31日23時29分)


-----------------------------(引用終了)----------------------------

戦勝国が過去の戦争を肯定しても、ほとんど問題視されませんが、

敗戦国という立場になってしまえば、

敗戦国=やったこと全てが悪とされて、

別の側面から見た見解を元に一部を肯定すような事を言ってみたとしても、

他の国だって同じようなことをやったではないかと主張しても、

そのような意見は内容がどうであれ全否定されるか叩き潰されてしまいます。

これも敗戦国になった故の引き面なくてはいけない惨めさなのでしょうか・・・。








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