事故米:大阪の卸業者、食用に転売 メタミドホス残留、03年度以降300トンコメの卸売加工業者「三笠フーズ」(大阪市北区、冬木三男社長)が国から購入した非食用の事故米を食用などとして転売していたことが分かった。03年度以降に購入した約1800トンのうち、残留基準値を超える有機リン系殺虫剤「メタミドホス」が混入した中国産など少なくとも約300トンの転売が確認された。福岡県内の工場で加工され、一部は焼酎などで販売されているとみられる。 ◇農水省、流通状況を調査 健康被害は確認されていない。農水省から5日に回収を指示された三笠フーズは自主回収する。また、同省は近く食品衛生法違反容疑で同社を大阪府警と福岡県警に告発する。 農水省によると、同社は03年度から今年度まで、事故米を粉にして工業用のりなどの原料に加工するとして国から非食用の事故米計約1779トンを購入。実際は、佐賀県や鹿児島県の仲介業者や焼酎メーカーなどに転売していた。 転売が確認された米は、メタミドホス混入の中国産約295トンのほか、発がん性のカビ毒「アフラトキシンB1」に汚染されたベトナム産などの約3トン。いずれも国が世界貿易機関(WTO)の協定に基づくミニマム・アクセス(最低輸入義務)枠で輸入した。 8月末、事故米の不正流通をしているとの匿名の通報が同省にあり、同省が立ち入り調査を実施。メタミドホス0・05ppm(残留基準は0・01ppm)が検出された中国産の事故米を、06年度と07年度に同社が計約800トン購入。そのうち、約295トンが食用として転売されていたことを確認した。 さらに、アフラトキシンB1が0・02ppm検出されたベトナム産の事故米を04年度に同社が約3トン購入。鹿児島県などの焼酎メーカー3社に販売されていた。 仲介業者に転売された事故米がさらに転売され、一部が別の鹿児島県などの焼酎メーカーに渡っていた。焼酎以外どのような加工会社に流通したか、農水省が調査中だ。 メタミドホスは中国製冷凍ギョーザ事件でも混入が確認され、同事件では最高で基準値の10万倍超が検出されている。アフラトキシンB1は、コウジカビの一種から生まれ、自然界で最強の発がん物質とされる。 農水省の聴取に対し三笠フーズは「メタミドホス混入米は転売前に検査をして問題ないと判断した。カビの米は表面を削って転売した」と説明している。同省は「今のところ安全性に問題はないと考えており、転売先などについては、混乱を招く恐れがあり公表できない」としている。============== ■ことば ◇事故米 国が買い取って保管、販売する政府米(外国産を含む)のうち、水にぬれたりカビや基準値を超える残留農薬が検出されて食用に回せない米。工業用のりなど用途を限定して販売される。農水省によると03年度〜08年7月に計約7400トンを販売し、三笠フーズを含む計17社が購入した。価格は1キロ当たり10円前後で、せんべいや酒の原料として売られる食品加工用米の5分の1ほど。(毎日新聞 2008年9月6日)三笠フーズ、事故米を3.3トン1万円で購入 農水省からカビ毒や残留農薬が検出された工業用の事故米を食用に転売していた米粉加工業者の三笠フーズ(大阪市)が、2004年にアフラトキシンが検出されたベトナム産うるち米(約3.3トン)を農林水産省から1万円で購入していたことが6日、分かった。同省は安く仕入れたコメを焼酎メーカーなどに転売して大きな利益を上げようとしたとみている。 農水省は04年、ベトナムから輸入し、京都農政事務所で保管していたうるち精米に発がん性の強いカビ毒であるアフラトキシンが含まれていることを確認した。同省はこのコメを食用としては使えない事故米と認定。同年4月27日、三笠フーズに1万円の安値で売却した。(日経新聞 09月06日 17:41) <事故米転売>10年以上前から? 買収企業の手法引き継ぐ米卸売加工会社「三笠フーズ」(大阪市北区)が殺虫剤やカビに汚染された米を食用として転売していた問題で、同社九州工場の宮崎雄三前所長(49)は6日、97年に同社が買収した米穀・飼料販売会社が以前から転売を繰り返し、三笠フーズがその手法を引き継いでいたことを明らかにした。10年以上前から事故米が食用に出回っていた疑いが浮上し、大阪府警と福岡県警は食品衛生法違反の疑いもあるとみて、情報収集を始めた。 宮崎前所長によると、買収した会社は福岡県大刀洗(たちあらい)町の宮崎商店で、宮崎前所長の父親(76)が創業した。父親は同商店が買収されて以降、三笠フーズ九州工場所長に就任し、同社に事故米の転売を提案したという。三笠フーズの冬木三男社長(73)も転売に同意し、社内に指示した。 その後、三笠フーズは主体的に転売を進め、常態化していったという。事故米と正規米を混ぜて販売していたが、100%事故米だったこともあった。(以下省略)(毎日新聞 9月6日21時12分)会見で「経営厳しかった」三笠フーズ社長、指示認める(一部抜粋)民間信用調査会社によると、三笠フーズは1977年に設立。本社は大阪市北区梅田。2007年4月期の売上高(連結)は約18億円。米飯加工調理食品の製造・販売と外食事業を行う同社のほか、米穀卸の「辰之巳」、米穀小売りの「辰之巳米穀」でグループを形成。「辰之巳」ともども冬木社長によるワンマン経営。大阪市内で天丼店「みかさ」も展開している。 主な出荷先は鹿児島県の酒造会社のほか、大手航空会社、駅弁会社、すしチェーン、スーパー、ホテル、中堅外食産業など。同社が扱う米は焼酎、ライスヌードルなどのめん類、餃子やシューマイの皮、レンジ加熱のごはんなどに使われているため、多方面に影響を与えそうだ。(夕刊フジ 2008年9月6日16時48分) ウィキペディアで、アフラトキシンを調べて見ると、防疫所の検査や自治体の衛生研究所などのモニタリング調査により監視が行われているが、食卓に上る料理の食材の多くを輸入に頼る日本では、摂取を避けて通ることができない毒とされる。なお、これまでアフラトキシンが検出されたものはすべて輸入食品であり、国産品からは検出されていない。毒性アフラトキシンは地上最強の天然発癌物質であり、その毒性はダイオキシンの10倍以上といわれる(詳細はIARC発がん性リスク一覧参照)。 主に、肝細胞癌を引き起こす原因物質として知られている。アフラトキシンは少なくとも13種類(代表的なものは B1、B2、G1、G2、M1 の5種類)に分かれるが、毒性はB1が最も強い。基準日本では、アフラトキシンB1 について1971年よりピーナッツ含有食品に 10 ppbという基準が定められ、以降全ての食品に適用される。なお、アメリカの基準は 20 ppb と各国の評価や規制値はまちまちであるが、各国で厳しい基準が敷かれていることには変わりはない。-----------------------------(引用終了)----------------------------なんか、もう中国の食品モラルを笑っていられませんね。WTOの決まりで米を保護している代償に最低限の輸入義務があり、輸入米は安全管理のために全て農水省が指定量を輸入して税金で買い上げています。 基本、食用は米国からの輸入米で、他国産はミニマムアクセスの輸入量を名目上満たす為だけの目的で買い上げ、食品に適さない米=非食用と最初から割り切って輸入しているそうです。そういった事故米は焼却処分するべきだと素人目には思うのですが、焼却費用よりも糊などの非食用加工品用に売ったほうが、多少の利益に繋がるので業者に販売していたわけです。転売するのは良いにしても、消費者の安全よりも儲かればいいと、安く買った事故米を食用の米として業者が売る可能性は、充分に考えられることであり、三笠フーズは社名に“フーズ”と入っていますが、本業は製粉業ですので、食品用以外にも、糊などのために工業用の米粉も製粉しているのですから、やはり、農水相は、事故米は工業用のみを扱う製粉業者に転売するか、転売した事故米がどういうルートに使われているのか、チェック態勢を作っておくべきだったのではないでしょうか。一番、悪いのは食用に利用した三笠フーズに変わりありませんが、農水相も考え方が甘く、これから批判の対象になりえるでしょう。もしかすると、他の製粉メーカーでも、同じことをやっている業者が存在しているかもしれません。日本でもガン患者が急増しています。欧米並みの食生活もガン発症の理由に含まれているのは間違いないでしょうが、食物自給率の低い日本は、ほとんど輸入食品に頼るしかなく、事故米に限らず、こういった発がん性物質が含まれた食品が、何年も前から加工食品としてなって流通していて、たとえ微量であっても、それを私たちが口に入れて蓄積した結果というのもガンの発生に、かなりの確率で影響を与えていると思います。