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2008年09月02日(火) ねじれ国会と公明党に動きを封じられた福田首相

朝日新聞2008年9月2日6時10分
ねじれの重圧 孤立の首相、力尽きた(1/3ページ)

これが「ねじれ国会」の重圧なのか――。
代表質問の前に辞意表明した昨年の安倍前首相に続き、
福田首相も秋の臨時国会を前に政権を投げ出した。
野党の攻勢に加え、早期解散を求める公明党をはじめ与党からも圧力が強まるばかり。
臨時国会の展望が開けないなかで、ついに力尽き、孤独な決断に追い込まれた。

 「辞めることにしたので、総裁選の準備をして下さい」

 1日夕、首相官邸の首相執務室。福田首相は大阪での防災訓練から帰ると、
突然、自民党の麻生太郎幹事長と町村官房長官を呼び、辞任の意向を伝えた。

 「どうしてなんですか」。唐突な辞意の理由を問いただされると、
首相は民主党の小沢代表の名を挙げ、こう語った。
「福田と小沢では通常国会と同じ構図になる。繰り返しになる。
新しい人になったら、もしかしたら変わるかもしれない」

 「人が変わっても、(民主党の対応は)変わらないでしょう」。
1時間を超える会談のなかで、再三慰留されても、
首相の気持ちは最後まで変わることはなかった。

 臨時国会召集まであと11日、首相側近も「当日知らされた」と語るほど
唐突な辞任劇。背景には、予想される野党の抵抗に対処できない、との判断があった。

 「この臨時国会が少しでも順調に行くようにと考えた。
野党は『解散、解散』とあおる。解散ということがあると議員心理がいろいろあるので、
そういう議員心理の結果、政治情勢が不安定になってはいけない」。
首相は1日の会見でこう語った。政府高官は「辞任の理由は、
民主党の解散しか考えていない国会運営だ。国民に何か言いたいというよりは、
民主党への抗議の辞任だ」と無念さをにじませる。

 民主党の小沢代表がこの日、8日に告示される代表選に出馬表明、
3選を確実にしたタイミングも影響したようだ。
首相周辺は「自分が辞めて総裁選に踏み切ることで、
民主党との違いを見せたかったのではないか」と語る。


ねじれの重圧 孤立の首相、力尽きた(2/3ページ)

野党側の攻勢に加えて、だめ押しのように強まる公明党はじめ与党内の圧力も、
首相から政権運営に向けた自信を奪っていった。

 つまずきは、臨時国会の召集日をめぐる政府・与党の調整から始まっていた。

 首相は、重要法案の審議日程を十分に確保するため、8月下旬を希望。
しかし、9月下旬召集を求めた公明党に配慮し、
9月中旬召集と譲歩せざるを得なかった。同党は、首相が強い意欲を示した
補給支援特措法の延長法案にも強い難色を示した。

 さらに追い打ちをかけたのが、総合経済対策に「08年度内に実施」と
盛り込まれた定額減税をめぐる政府・与党の攻防だった。

 首相自身、「バラマキ政策ととられかねない」(周辺)と考え、
実施に否定的だったが、総選挙向けの「目玉」を求める公明党に押し切られた。
当の公明党の太田代表は、首相の会見の30分前に連絡を受けたといい、
「突然のことで正直言って驚いている。首相として熟慮した結果の
判断だと思っている」とかみしめるように語った。

 「自分の希望通り国会を召集することができなかったし、
おまけに公明党に押し切られて定額減税をやらなければならなくなった。
それがこたえたのだろう」(自民党四役の一人)。
野党の攻勢に与党内の圧力が加わり、臨時国会運営の見通しが立たない状況を前に、
首相はついに力尽きた。首相は1日、側近にこう語ったという。

 「総理に就くときは周りに相談するけど、辞めるときは自分で判断する」

 「生活感もなく、対応力に欠けている自公政権は一日も
早く終わらせなければならない」。民主党の小沢代表は1日、
代表選出馬会見で福田政権をこきおろした。「首相退陣」のニュースは、
その夜に飛び込んできた。

(以下省略)

ねじれの重圧 孤立の首相、力尽きた(3/3ページ)
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福田首相の突然の辞任理由は、

紹介した朝日の記事に書かれている

「ねじれ国会と公明党」によるものだと思います。

まず、ねじれ国会については、

麻生氏か町村氏のどちらかが福田首相との会談で述べたように、

次に誰が首相になってもねじれが解消することは無く、

民主党の小沢党首のスタンスが変わらない限り話が出来る分けはありません。

結局のところ、ねじれ状態で小沢党首と話をする唯一の材料は、

解散総選挙をして選挙に勝つ方法以外は無いのですから、

解散総選挙に踏み切っても良かった思いますが、

今の自民党支持率や福田内閣支持率では、

惨敗する可能性のほうが高く、

自分で惨敗して野党に転落するという最悪のシナリオで、

自民党政権の汚点として歴史に名を残すことが、

福田首相のプライドには許しがたいことだったのではないでしょうか。

そして、一番決定的だった理由は「影響力を増す公明党」。

今の自民党は公明党の支持母体である創価学会員の票が必要不可欠です。

公明党はそれを逆手に取り自民党に要求を飲ませようとします。

福田首相としては、公明に国会開会を譲歩して9月12日にし、

内閣改造し、定額減税まで受け入れたのに、

調子の乗ってさらに代表質問は月末と要求してきます。

自民単独では何も法案が可決できない現状と、

公明党の意向に従わないと、

ほとんど動けない総理大臣や自民党なんて、

首相としての自分の立場や政権与党第一党としての

存在感に意味があるのかなどの疑問から生まれた

不満が頂点に達したのでしょう。

辞任会見では民主党を批判していましたが、

ホントは公明党と連立を組まないと政権を維持できない

自民党にも限界を感じているんじゃないかと感じます。

だけど、まだ自分が自民党議員を続けて行く限り、

そして、創価票が無ければ当選できないような

自分の力では勝てない弱い一部の自民党議員のことを考えれば、

口が裂けても死んでも公明党批判は言えませんが。

二度も続いた首相の責任放棄な辞任劇。

ただ、安部前首相は体調を理由に辞任したので、

身動きできなくて辞任しちゃった福田首相のほうが、

見た目には無責任度&開き直り度が高く、

しかも、二人続けて政権を途中で投げだしたイメージは悪く、

次が麻生氏でも小池氏でも他の誰かになろうと、

ねじれ状態は解消しませんし、

党の顔を変えて解散に打って出たとしても、

解決すべきあらゆる問題が解決も出来ず継続的に続いているので、

次の衆院選挙で勝てる可能性が弱く、

解散することが、今の自民公明にとって最善の選択肢ではないですが、

どちらにせよ自公政権は危機的な状況なのかもしれません。







名塚元哉 |←ホームページ