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2008年01月20日(日) 暫定税率問題

町村官房長官「ガソリン値下げは環境問題にマイナス」

町村信孝官房長官は19日夜、千葉県市原市内のホテルで講演し、
通常国会の焦点であるガソリンにかかる暫定税率問題を巡り、
「ガソリンの値段を下げればそれだけで日本の環境問題は
そんな程度の取り組みなんだということになる。
そのマイナス効果は計り知れないものがある」と述べ、
環境問題の観点からも税率維持が不可欠との考えを強調した。

 民主党が通常国会を「ガソリン値下げ国会」などと位置づけて
衆院解散・総選挙に追い込む構えを見せていることには
「ガソリンを25円下げるかどうかで日本の国政が決まるというのは
あんまりではないか。国民の信を問うにはいくらなんでも
テーマ設定が小さすぎる」と批判した。

 長官は消費税率の引き上げ問題について
「何年かのうちには税率を上げるという決断への理解を得ないといけない」と指摘。
「今必要な社会保障の支出をまかなうためという理由もあるが、
もう1つの大きな理由は次の世代に負担を先送りするのはやめるためだ」と述べた。

(日経新聞 1月19日21:24)


任期満了選挙が筋=ガソリン値下げは温暖化助長−高村外相

(一部抜粋)
また、民主党が揮発油税の暫定税率撤廃によるガソリン値下げを掲げていることに関しては、
二酸化炭素(CO2)など温室効果ガスを削減しようという世界の流れに
逆行していると批判。「日本が北海道洞爺湖サミット(主要国首脳会議)を
主催しようとしているとき、『ガソリン税を下げました、
もっとガソリンを使いましょう』という態度でリーダーシップが
取れるのか」と強調した。

(時事通信2008/01/19-20:13 )


CO2排出量、年2400万トン増=ガソリン暫定税率廃止で−政府試算

政府は18日、道路特定財源であるガソリン税(揮発油税、地方道路税)と
軽油引取税の暫定税率が廃止された場合、自動車の利用が増えるため、
二酸化炭素(CO2)排出量が年2400万トン増加するとの試算を明らかにした。
国内排出量の1.9%に相当する。
 政府はこのデータを基に「暫定税率の撤廃は地球温暖化防止に逆行する」と訴え、
税率維持の理解を求めていく構えだ。

(時事通信 2008/01/18-19:58)


-----------------------------(引用終了)----------------------------

もともと軽油引取税とガソリン税は環境保全が目的の税金ではなく、

高速道路建設など道路特定財源にあてる税なのですから、

30年以上前に暫定税率が設けられた時に、

税の利用目的が環境問題を見越しての事だったのなら、

まだ説得力のある発言だと思いますが、

ガソリンの値下げは温暖化を助長するという指摘は、

昔とは違い、国民の環境問題への関心が高いことを受けて、

持ち出してきた単なる後付けの理由で論理のすり替えの感は否めません。

ガソリン税の暫定税率を廃止しガソリンが値下げされたことで、

車の利用回数が増えてCO2排出量がさらに増えるのも、

このまま暫定税率を継続して、高速道路をさらに作り続けるのも、

どちらも環境破壊でしかないのではないでしょうか。

環境のことを述べるのであれば、

暫定税率は廃止して、環境税(CO2排出税)を導入するほうが、

まだ筋が通っていると思うのですが。

 民主党は、暫定税率を廃止して、

その代わりに1年以内に環境税を導入することを検討しているようですが、

1月17日 ロイター 日銀総裁人事、武藤副総裁の昇格は財金分離に反する=岡田民主副代表

(一部省略)
16日に開かれた民主党大会では、小沢一郎代表が通常国会を
「ガソリン値下げ国会にする」と強調するなど、道路特定財源の
揮発油税などの暫定税率の延長問題が焦点に浮上しているが、
岡田副代表は「国民生活にとってガソリン値下げは重要なことだが、
この問題の本質は、特別会計や目的税などを壊すことだ」と主張。
 暫定税率を廃止して1年以内に環境税の内容を詰め、導入するとした上で、
「なぜ道路だけ一般と区別して財源を確保しなければいけないのか。
そこに合理的な理由はない」と繰り返した。


環境税導入も「環境対策に使います」とさえ言えば、

環境問題への関心が高い国民から反対の声が出にくいであろう事を見越して、

ようするに減税分を他の名目で穴埋めするだけのことであり、

けっきょくのところ、環境税導入にしても、

どのように利用されるかが重要です。

 暫定税率廃止かどうかに関しては環境問題というよりも、

この20年以上もの間、地方活性化の名の下に道路を作り続けてきたわけですが、

高度経済成長の頃ならまだしも、むしろ、現在では、

道路が有ったとしても地方は疲弊している傾向にあるので、

「特定財源」のままでは税を道路工事で使い切る事

(10年間で59兆円を道路だけで使い切ったという話です。)よりも、

一般財源化して道路なり環境対策なり、

使い方を検討して必要かどうかの判断ができる体制を作ることこそが

これからは重要なのではないでしょうか。








名塚元哉 |←ホームページ