貧困スパイラルと下流食いビジネスに覆われた日本■さまざまな理由で搾取される派遣社員「お母さん、貧乏ってお金かかるんだね」ある日、派遣社員を夫に持つ母親に、小学生の息子が言った。夫のAさんは、派遣会社に登録して地方都市から東京に出稼ぎに出ていて、毎日日雇いで働きながら仕送りしている。地方にいても、まったく仕事がないからだ。 Aさんの場合、登録した派遣会社から携帯にメールが入り、翌日の仕事が決まるという「携帯派遣」システム。登録時の仕事内容には、いろいろな職種が掲載されているが、実際にあるのは重労働ばかり。それも、極めて劣悪な条件の日雇い労働である。集合時間は、作業開始の1時間前で、10時間労働もザラ。時給は1000円とそれなりの金額だが、集合前と休み時間の1時間は支給外になる。交通費は、一定金額以上は支払われず、自腹を切ることになる。※紹介記事は長文につき、省略します。-----------------------------(引用終了)----------------------------高度経済成長に向けて国民一丸となっていた時代、一億層中流と呼ばれていた時代、そしてバブル景気に浮かれていた時代にも、日本には一定層の貧困層が存在していたのですが、その頃は、ほとんどマスメディアに登場することがありませんでした。昨年から、日本の貧困層について考えさせられる報道が増えました。貧困層の拡大で隠し切れなくなっただけなのかもしれませんが。貧困層という言葉は、差別的でネガティブな印象を含んでいるので、経済格差という言葉に置き換えられてマスメディアに登場します。しかしながら、格差は努力次第で、差が縮まるという楽観的な印象を持ってしまうので、貧困層は努力していない奴などといった自己責任論として一括りで縛られてしまいます。何も努力をせずに、雛鳥のように餌を待っているような人間は論外としても、問題は働いても貧しい人々が現実に存在し、いわゆるワーキングプア層が増えてきているということです。派遣労働者は、次から次へと仕事先が変ることもあるので、基本技術さえ収得できないままということが多く、そして、派遣会社にピンはねされるので生活は楽になりません。こんな生活を続けていると身体を壊して通院するか、入院することとなり、貯蓄がほとんど無い中から医療費を負担し、さらに生活苦となったところに加え、通院や入院生活の長期化で働き先を失うこともある。こんな生活を「貧困線」といって、大昔のヨーロッパ社会保障制度の先駆けになったのですが、日本の場合は、貧困の定義付けさえも未だに存在していないので、ここで生活保護が付けば良いのですが、何かと理由をつけられて水際作戦で見捨てられている現状が多く存在しています。また、正社員であっても派遣が同じ仕事をしながら低賃金だった場合、同じように給料を下げられるという企業さえ存在し、このような状態では出産率は増加するわけはありませんし、購買意欲が低下し内需が壊滅するわけです。そんな中に追い討ちをかけるかのように、原料高で食料品の様な必需品は値上がりしていき、この状況が長引けば、自己破産者や貧困層の増加と、ここ10年以上、約3万人と横ばいであった自殺率も、自殺率を引き下げることよりも、逆に、経済苦、病苦により3万人越えになることは確実ではないでしょうか。他にも、働く場所がないからと犯罪に走る人が存在するように、刑務所の方が、冷暖房完備で寝床は確保され、3食付いているし、医療も充実しているし、規則正しい生活が約束され、自由が少ないとは言え人間らしい生活できるということもあり、犯罪の増加も考えられます。貧困者による犯罪が増加した場合、自分が被害者になることもゼロではありません。また、何らかの理由で自分が貧困層に加わらないとも限りません。イギリスでは、将来的に失業手当や犯罪対策費などを節約できると、貧困対策費として国家や企業が15兆円を投入しているそうですが、日本政府は、貧困層の増加を認めようとさえしません。しかし、貧困対策は、将来の自分への安全などの投資や、国際競争力の維持となるということを考慮しておくべきではないでしょうか。多くの日本企業には、国際競争力がまだあるので、円が評価されて、踏みとどまっていられますが、企業がダメになってしまえば円の価値はもっと下がり、石油製品全般食品全般など輸入依存度の高い品物は、軒並み値上がりしさらに苦しくなります。貧困の拡大は、日本経済や国際競争力や教育水準低下を招き、国民の生活全体にとってマイナスでしかないことを、私たちはもっと認識する必要があるのではないでしょうか。そして、日本政府は国力低下阻止のために貧困層の救済に、本格的に取り組むべき時期に来ているのではないでしょうか。