責任逃れの気持ちあった…船場吉兆、会見で謝罪「法令順守の考えが甘かった。申し訳ございません」。料亭の「若だんな」はそう言って、カメラの前で深く頭を下げた。一連の不正表示を指摘され、近畿農政局に10日、改善報告書を提出した船場吉兆の湯木喜久郎取締役(45)。先月9日の会見以来、1カ月ぶりに公の場に姿を見せ、経営陣の関与を全面否定した当初の弁明を一転、仕入れ担当者として不正の責任を認めた。だが、消費者をだます意図がなかったか問われると言葉を濁し、終始うつむき加減で謝罪を繰り返すのみだった。 喜久郎取締役は午前9時半すぎ、女将(おかみ)の湯木佐知子取締役(70)と、弁護士とともに京都市上京区の近畿農政局を訪れた。2人は報道陣の目を避けるように伏し目がちで、佐知子取締役は、同局の斉藤昭局長に改善報告書を提出すると、さらに深く頭を下げた。 斉藤局長から「一般消費者の不利益とならないよう、表示を適正にしていただきたい」と言葉をかけられると、佐知子取締役は「よろしくお願いします」と答えた。 記者会見でも、2人は席に着くや何度も頭を下げた。会見では社内調査にあたっていた弁護士が調査結果を報告、偽装にいたる経緯や方法を説明した。記者からはこれまでの「責任転嫁」を厳しく指摘する質問が相次いだ。 「地鶏」の偽装では、鶏肉を仕入れていた京都市の仕入れ業者が勝手に鶏肉を入れ替えたと責任を押しつけたが、米田秀実弁護士は「このことは私どもの地鶏の定義の誤りでこざいまして、本当に申し訳ございませんでした」と釈明。一部のラベルの張り替えについて「従業員の独断」と説明したことについても、経営陣が売れ残りを破棄することに対して厳しく叱責していたとして、謝罪した。 責任転嫁の理由を問われると喜久郎取締役は口ごもり、「初めての記者会見の経験でこざいまして、自分でも何を申し上げていたのか分からなくなっていた」「(責任を逃れたい)気持ちがあったと思います」と消え入りそうな声で説明した。 従業員から偽装を指摘する声があったことについては、喜久郎取締役は、社内の調理スタッフから不正表示について指摘されたことがあったことを認めたうえで、「規範意識のなさ、適切なラベルに取り換える作業に対する怠慢の心から、聞き流していたのが現状。重々に反省し、おわびのしようがない」と話した。(産経新聞 12月10日12時12分)-----------------------------(引用終了)----------------------------船場吉兆の一連の対応ですが、これまでの食品偽装をした企業とは違い、本来であれば守るべきであるパート従業員や、経営をしていく上で重要なパートナーである取引先業者に責任転嫁をしてしまっているので、食品の偽装だけであれば謝罪で立て直すことも出来たでしょうが、世間に対して与えた印象は悪く致命的です。また、今日の謝罪会見で、「法令順守の考えが甘かった。申し訳ございません」と述べていますが、これでは、お客様よりも法令順守のほうを向いていることになります。今回の件で問題なのは、法令順守云々という話以前に、“お客様を騙していた。”ということです。法令さえしっかり順守していればという気持ちが出てくる時点で、どうせ、利用するお客さんのほとんどは、吉兆というブランドだけで有難がる人ばかりなんだから、どんな安い素材を使おうが、味なんて分かりっこないという、お客さんを馬鹿にした傲慢な気持ちがあったことの裏づけになるのではないでしょうか。 こんな連中が「おもてなしの心」と、したり顔で言っていたことが、同じ日本人として本当に腹が立ちます。 そして、全国のニュースでは、この会見がどのように扱われているかは分かりませんが、関西ローカルの情報番組では、会見の場で、長男の取締役が、記者からの質問の答えに詰まるたび、その横で、母親である女将が、小声で長男に言うべき言葉を指示している場面が放送されていました。マイクの性能が良すぎたゆえに、母親(女将)の声を拾ってしまったわけですが、これでは、まるで、取締役はただの操り人形のようなもので、会見を見た人々にあまり良いイメージを与えません。 このような「船場吉兆」の一連の対応は、悪い対応の見本市のようなもので、かなり勉強になる部分があったので、企業の不祥事対応マニュアルに悪い一例として載せるべきではないでしょうか。