朝日新聞10月10日付社説 対北朝鮮―首相は早く戦略を固めよ政府はきのう、北朝鮮に対する独自の制裁措置を半年間延長することを決めた。貨客船「万景峰号」の入港禁止などの措置がこれからも続く。 この制裁は昨年7月、北朝鮮の弾道ミサイル発射に抗議して始まり、10月の核実験を受けて内容が大幅に強化されたものだ。13日に期限切れが迫っていた。 制裁の延長について、町村官房長官は「拉致問題に具体的な進展がないことや、核問題を含む諸般の情勢を総合的に勘案した」と語った。 拉致問題がまったく進んでいないのはその通りだ。しかし、6者協議の合意を経て、北朝鮮は原子炉などの核関連施設の稼働を停止、封印した。さらに年末までに主な3施設を「無能力化」することでも合意した。 施設の再稼働はない、と保証できるところまでは行っていないものの、こうした動きは前向きのものだ。少なくとも制裁の部分解除などを通じて、日本政府としての評価を発信できたのではないか。 約束を破れば、再び制裁を強める。事態の進展を見つつ、対応に緩急をつけてこそ相手にこちらの意思を伝え、改善を促すシグナルにもなる。 首相は自民党総裁選の際、拉致問題を「私の手で解決したい」と述べた。金総書記は先の南北首脳会談で「福田政権の出方を見極めたい」と語ったという。その中での延長はあまりに単純すぎた。 発足早々の福田政権として、まだ北朝鮮に対する外交戦略を決めかねているのかもしれない。だとすると、早急に対応を練る必要がある。6者協議を軸に、北朝鮮をめぐる外交情勢は大きく動こうとしているからだ。 鍵を握る米国は、北朝鮮との直接交渉を深めている。進展具合はよく分からないが、年内にもテロ支援国家リストから北朝鮮を外すという観測も出てきた。 無能力化の進展に応じて、北朝鮮を除く5カ国は重油95万トン相当の経済・エネルギー・人道支援を北朝鮮に送ることになっている。すでに韓国と中国は支援を実施し、続いて米国、ロシアが支援の計画を明確にしている。 このプロセスに日本としてどうかかわっていくか、早く態度を固めなければならない。拉致問題が進まない限り、支援には加わらないというのが安倍前政権の方針だったが、そんな単純な割り切りでは通用しない段階に至っている。 拉致問題の進展をもっと具体的に、細かく北朝鮮に迫り、対応を引き出すことだ。核放棄の段階へ進めるためのエネルギー支援をそこに絡めて、米韓などとも連携して少しずつでも地歩を固めていく。日本の独自制裁の解除も当然、取引材料になるだろう。 かつて凍りついていた「北朝鮮」外交が、米朝を軸に動き出した。この機に立ち遅れることがあってはならない。首相は総合的な北朝鮮政策を早く固め、事態の変化に機敏に対応していくべきだ。-----------------------------(引用終了)----------------------------> かつて凍りついていた「北朝鮮」外交が、米朝を軸に動き出した。>この機に立ち遅れることがあってはならない。また出た「日本だけ孤立するよ理論」or「バスに乗り遅れる理論」。経済制裁延長に関して他の新聞の論調を見てみましたが、リベラル左派色の強い地方紙でさえも軒並み制裁継続延長を支持しており、どちらかといえば朝日新聞だけ孤立しているような。 そもそも米朝で約束を取り付け外交が動き出したとしても、まだ口約束の段階であり、その約束が履行されてない以上、当然のことながら日本が得るものはありません。そんな時にたとえ部分的であっても制裁を解除するのであれば、けっきょくは北朝鮮のみが得をするだけになり、ギブ&テイクが成り立ちません。 朝日は前日の社説では、ミャンマー軍事政権と日本の対応を批判していました。朝日新聞10月09日付社説ミャンマー―長井さんの遺志を継ぐ 日本は同時に、対ミャンマー援助を再検討する必要がある。政府は一部を凍結する方針だが、まず「対話を通じての民主化促進」というこれまでの援助政策の失敗を認めることだ。 ミャンマーへの対応だと制裁を強めろという論調になるのに、ミャンマーより酷い独裁政権の北朝鮮なら、日本にとってはなんら成果が得られていないのに、制裁の延長は単純すぎるから、見直して制裁を解除しろというのはなぜなんでしょうか。 拉致問題解決にとって一番大事なことは、日本の国論が割れていない、すなわち一枚岩であるということを金豚に認識させることなのに、こういう一部メディアがぬるい事ばかりを言ってるから、北朝鮮は拉致を有耶無耶にしていれば、そのうち日本も諦めて国交正常化できるだろうと勘違いするのです。