時津風親方、急死の力士介抱せず放置 金属バット暴行を口止め大相撲の時津風部屋の時太山(ときたいざん)=当時(17)、本名斉藤俊(たかし)さん=が急死した問題で、死亡の直前、時津風親方が、しごいた兄弟子らを遠ざけ、斉藤さんと2人きりになりながら介抱せず、病院への搬送もすぐに指示しなかったことが、関係者の話で分かった。死亡後、金属バットによる暴行を警察に話さないよう兄弟子らに口止めしていたことも判明。弟子が金属バットについて話したと報告すると、親方は「なんで本当のことを言うんだ」と叱ったという。愛知県警は立件に向け、最終的な詰めの捜査を進めている。 県警や複数の関係者によると、6月26日午前10時ごろ、愛知県犬山市の時津風部屋で朝げいこが終了。親方の指示で4、5人の兄弟子が残され、斉藤さんとのぶつかりげいこが始まった。 親方は土俵脇でしばらく様子を見た後、風呂や食事のため宿舎に移動。約1時間後に戻り、ぐったりした斉藤さんを見て、「後はおれ1人でみる」などと話し、兄弟子らを遠ざけた。 けいこ場には斉藤さんが取り残される形で約20分間、2人きりだったが、この間に斉藤さんを介抱するなど救護措置は行われなかった。 親方は、2日後の28日に、自分の部屋に関取衆を除く弟子らを呼び、暴行に金属バットが使われたことや自分が斉藤さんをビール瓶で殴ったことを漏らさないよう指示。その後、ほぼ連日、弟子らを集めて県警の聴取に何を話したかを報告させ、「聴取が長引くと良くないから、みんなで供述を合わせよう」と口裏合わせを求めたという。(産経新聞 2007/09/30 02:10)親方「おまえらもやれ」 兄弟子らけしかける 時津風部屋の力士急死時津風親方は兄弟子らをけしかけていた。部屋関係者が、斉藤さん死亡当日や前日に受けた暴行の生々しい様子を次のように証言した。急死が発覚した6月、親方はいじめや制裁の有無を記者会見で問われ、「そういうことはない。何が原因でこうなったかのか分からない」と釈明していた。 6月25日午前11時ごろ、斉藤さんが逃亡したことに兄弟子らが気付いた。近くのコンビニ前にいるのを見つかり連れ戻される。兄弟子から殴られた。 同日午後6時ごろ、夕食で「逃亡」の罰として斉藤さんは時津風親方の斜め後ろに正座させられた。斉藤さんが「心を入れ替えます。すみませんでした」と許しを求めると、兄弟子は「だまって正座しとけ」と怒鳴り、親方は「何十年も相撲界にいるが、おまえみたいに根性のないやつは初めてだ」と説教した。 午後7時ごろ。親方は飲み終わったビール瓶で斉藤さんの体を数発殴った。最後に額のあたりを強めに殴り血が流れた。親方は兄弟子らに「おまえらもやってやれ」と指示。3人が「根性いれてきます」と言って、部屋の裏手や宿舎の外で30分以上、素手や金属バットで暴行を加えた。 兄弟子らは親方の前に連れて行き謝らせたが、親方は「駄目だ。何度おまえにだまされたか」と突き放した。 翌26日。午前10時ごろにけいこが終わると、間もなく斉藤さんに対して「かわいがり」と呼ばれる集中的なぶつかりげいこが始まった。兄弟子1人が胸を出し、ほか3、4人が取り囲む形で、斉藤さんが倒れると足げにしたりした。親方もそばで見ていた。ぶつかりげいこは1時間以上続いた。 親方は兄弟子たちに続けさせたまま、風呂と食事を終えて帰ってくると、「後はわしが面倒を見る。おまえらは風呂に入れ」と言い、けいこ場で斉藤さんと2人きりになった。その間約20分。「あー」という斉藤さんのうめき声が聞こえた。午後0時半ごろ、意識不明になり、壁にもたれぐったりしていた。体全体が土気色になっていた。水をかけたが意識が戻らず、親方の「今度は温めよう」という指示で風呂場に運び湯をかけ始めた。弟子たちは「救急車、救急車」とざわつき始めたが、親方は呼ぼうとしなかった。湯でも意識が戻らず、親方もようやく救急車を呼ぶことを承諾した。( 産経新聞 2007/09/30 02:24)-----------------------------(引用終了)----------------------------体育会系の世界は、日常茶飯的に「しごき」があるものですし、ある程度は必要になってくることもあるでしょう。しかしながら、今回の件は事実が明るみになればなるほど常軌を逸しているのが分かります。だいたい、遺体を先に火葬してしまおうとした時点で、やりすぎたという思いと発覚を恐れたとしか考えられません。 閉鎖的な世界なので、しごきが強くなるため、根性をつけるために必要だとと言われれば、しごかれる側は受け入れざるを得ないわけです。しかも、リンチまがいのしごきを受けて育った力士達は、一人前になるにはそういうものだと、ある意味で思い込んでいますから、一般的にリンチと言われているような“しごき”は、程度の差はあれ他の部屋でも存在しているのではないでしょうか。それこそ長年続いている伝統のように。だからこそ協会や他の部屋から批判めいた声が出てこないと思われます。 これまでにも練習中に心臓発作や、くも膜下出血で死んだ力士がいましたが、リンチまがいのしごきによる死亡の可能性もありえ、週刊誌の取材などによって、元力士などから告発が出てこないか、他の部屋の親方や相撲協会は内心ビクビクしているのではないでしょうか。 時津風に厳しい処分(廃業)をしてしまうと、今後出てくるリークによっては、他の部屋も存続の危機に追い込まれることもあるわけで、そうなると相撲人気はさらに低下してしまいます。相撲協会がなかなか時津風親方を処分できないのは、そういう波及を恐れているからと思えて仕方がありません。 相撲取りの力士生命が短いのは、確かに激しい競技というのもありますが、それ以外に、入幕した頃からのキツイしごきによる古傷が元で、満足に相撲ができなくなる身体になってしまっているからではないかと思うようになりました。