日朝の遅れ、米中韓懸念 6者協議作業部会6者協議の日朝国交正常化作業部会が5日からモンゴルのウランバートルで始まる。原則論を述べ合っただけで決裂した3月のハノイでの会合から半年。拉致や過去の清算問題で実質的な協議に入れるかどうかが焦点となる。 北朝鮮の核問題をめぐる6者協議の中に設けられた五つの作業部会のうち、日朝作業部会の遅れが際立っている。ジュネーブで2日まで開かれた米朝作業部会ではかなりの進展があったとみられ、米朝が全体を引っ張る形で6者協議は進む。他の参加国からは「日本だけが自らの主張にこだわることは難しくなる」との声も出ている。 (一部省略) 米中韓は日朝双方に対し、水面下で妥協点を探るよう働きかけ始めた。6者協議の進展には、日本も加わった大規模な経済支援が不可欠との立場からだ。 米国は北朝鮮に「拉致被害者に対する調査再開」を打診。韓国は最近、日本政府に「第三者による遺骨の鑑定など、具体的な提案を北朝鮮に働きかけたらどうか」と非公式に持ちかけた。中国も「このままでは日本だけがバスに乗り遅れる」と日本側に伝えた。 (以下省略)(朝日新聞 2007年09月05日06時00分)日経新聞:外相、テロ支援国指定解除の北朝鮮見解を否定町村信孝外相、拉致問題を重視する日本が置き去りにされるとの指摘に関しては「置き去り論は北朝鮮の思うつぼだ。拉致問題を解決せず日本から経済支援が出ないで困るのは北朝鮮だ」と指摘した。-----------------------------(引用終了)----------------------------六者協議や日朝作業部会が開かれると、拉致問題に固執する日本は孤立化してしまうという孤立化を危惧する論理が復活します。その孤立化論で分かりやすい表現として使われるのが「このままでは日本だけバスに乗り遅れる」です。ことさらに早くしないとバスが行ってしまうぞと焦らせるのですが、このバスの運転手はとてものんびり屋さんなのか、日本が乗るのを気長に待ってくれているので、「急いては事を仕損じる」の言葉があるように、あまり心配することはありません。 バスに乗ったとしても、その行く先が重要なわけですが、今の状況でバスに乗ってしまえば、拉致問題が疎かにされたまま「日本による多額の経済支援」という名の終着駅まで、バスを降りたくて停車ボタンを押しまくっても降ろしてもらえません。 以前にも拙日記で書いたことがありますが、大手既成メディアや日本の一部政治家は今年になってから、バスに乗り遅れる=日本孤立論を展開していますが、「孤立」とは、一人だけ他から離れて、つながりや助けのない事を意味する、要するに誰からも相手にされないという暗いイメージを与える言葉です。人間にとって誰からも相手にされないというのは一番不安を感じることですが、孤立論を主張する方々は、日本が孤立する場合、アジア地域限定の孤立なのか、世界規模の孤立なのか、孤立したことによって、今後どのようなデメリットやリスクが、日本に生じるのかを指摘しようとはしません。デメリットやリスクを指摘せず不安感情に訴えるだけの孤立論というのは、孤立論を主張する側の怠慢でありアンフェアだと思います。