年金ずさん 5000万件(中)照合も不可能「記録消失」「1年以内に5000万件の照合作業を終える」。厚生労働省は4日、年金記録漏れ問題への具体的な対応策を打ち出し、コンピューター内にある該当者不明のデータについては調査が行われることになった。だが、それ以外にも、納めたはずの保険料記録が残っていない<記録消失>という問題が浮上している。 「保険料は、一体どこに行ったんだろう」。国民年金を受給している埼玉県内のAさん(67)は、明細書を見るたびに、釈然としない思いにとらわれる。 左官業のAさんは、21歳になってから、国民年金の保険料を欠かさず納めてきたつもりだった。だが、受給を前に近くの社会保険事務所で記録を調べると、1961年からの3年分が未納とされており、年金額が年約4万円少なくなっていた。 年金記録漏れの多くは、転職や転居、結婚などで、それまでとは違った年金番号になることで生じる。だが、Aさんの場合、仕事も住所も氏名も変わっておらず、納付記録が5000万件の中に紛れ込んでいる可能性は少ない。 「保険料をもっと払ったはずだ」と思っているのは、Aさんだけではない。昨年8月以降、社会保険事務所に年金増額の申し立てをしたのに、「記録がない」と却下された人は、全国で約2万1000人。いずれも、本人が領収書など保険料納付の証拠を保存していなかったうえ、社保庁のコンピューターにも記録が見つからなかった。 一方で、コンピューターには記録がなかったのに、本人が領収書などを保管していたため増額が認められた人が55人いる。社保庁が記録を紛失したことが、動かぬ証拠で明らかになったケースだ。何十年も前の領収書を保管している人は少ない。何らかの理由で納めたはずの保険料記録が<消失>している人は、さらに多数に上る可能性が強く、「55人」は氷山の一角にすぎない。 実際に保険料を納めているのに、その記録がどこにもないという、異常な事態が、なぜ起きるのか。 原因としてまず挙げられるのが、納付済み期間を未加入扱いにしてしまうなどの単純な事務処理ミスだ。 また、手書きの台帳で保存されていたデータを、コンピューターに入力していなかった例も発覚した。このような事例では、手書きの記録を調べれば、救済される可能性はあるが、国民年金の場合、かつて保険料の徴収をしていた市町村の15%が、手書きの記録をすでに廃棄しており、再調査が不可能なケースも多くなる。 さらに、過去には職員による保険料の着服事件が相次いで発覚。99年には会計検査院が、過去5年間に総額約1700万円もの被害があったと指摘した。年金相談を行っている社会保険労務士らの間では、「ほかにも保険料徴収担当者の着服があったのではないか」という見方も出ている。 <記録漏れ>に続く<記録消失>という失態は、年金制度の信頼を大きく傷つけた。「年金記録がこれほどの問題になるとは、予想もできなかった。今から思えば、もっと努力すべき部分があった」。97年に基礎年金番号が導入された当時、厚生(現・厚生労働)事務次官だった山口剛彦・福祉医療機構理事長は、そう振り返った。 後悔の言葉はむなしく響くばかりだ。(2007年6月6日 読売新聞)産経 6月6日 不明年金新たに1430万件-----------------------------(引用終了)----------------------------情報を小出しにするよりも、ここは素直に「皆様から徴収した年金はグリーンピアなどの箱物造りに使用しました。 その結果、年金制度は破綻しました。」と潔く認めて言ったほうが早いような気がします。 仮に、ずさんな管理によって記録消失した5000万件分の年金を払うとなれば、どれほどの額が必要なのでしょうか。今の年金制度は世代間負担であって、当然のように、不足分に割り当てられる資金は絶対に足りないことは明らかで、まんべんなく配分できるほどの国家予算もなく、議員年金をたんまり貰える切迫感が無い政治家どもは、国民の気持になって年金制度を真剣に考えるわけもないでしょうから、このままで行けば、不足分の資金は消費税をある程度上げて、その分を一定年齢以上の国民に比例配分するという、一番手っ取り早い案として、税金で補填するしか得策がないと提言するだろうと予想しています。 年金制度の崩壊に近いこの件に関して、ネットを見ていると、ほとんどの人は憤りを感じているようですが、国家に対して「幻滅」し半ば諦めのようなものが漂っているので、もし本当に消費税をアップしそれを年金の支払いに補うとした場合、コツコツと真面目に年金を積み立てていた国民から、さらに年金の名目に税金を取られることに反対の声が上がるのでしょうか。ちゃんと年金が貰えるのなら仕方がないと諦めに近い形で消費税アップを受け入れそうな気がします。