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2007年04月04日(水) 亡国のイージス

イージス艦情報漏えい、神奈川県警と海自が共同捜査へ

海上自衛隊第1護衛隊群の護衛艦「しらね」の2等海曹(33)が
イージス艦情報を持ち出した事件で、神奈川県警と海上自衛隊の警務隊は
3日、共同で捜査する方針を固めた。

 情報が極めて秘匿性の高い「特別防衛秘密」にあたる可能性があり、
漏えい事件として本格的に捜査するために、
協力して内容の分析や漏えいルートの特定を行う。
情報漏えいなどの事件をめぐって、警察当局と自衛隊が共同で
捜査するのは極めて異例。

 同県警が2曹の自宅から押収したハードディスクに入っていたファイルには、
イージス艦の性能に関するとみられる「数値」が記録されていた。
県警は情報の解析を進めてきたが、極めて高度な情報のうえ、
自衛隊内で広範囲に情報が漏えいしていた疑いがあり、
海自の協力が不可欠と判断したとみられる。

(読売新聞 2007年4月4日3時15分)


護衛艦乗組員、イージスシステム情報も持ち出し

海上自衛隊第1護衛隊群(神奈川県横須賀市)の護衛艦「しらね」乗組員の
2等海曹(33)が護衛艦の情報を持ち出していた問題で、
この情報の中に、イージス艦の能力の中枢部分をなす「イージスシステム」
に関するものが含まれていることが3日、神奈川県警などの調べでわかった。

 県警はこの情報が、日米相互防衛援助協定等に伴う秘密保護法が定める
「特別防衛秘密」にあたるとみて、同法違反容疑での立件に向けて
関係機関との協議を始めた。

 イージスシステムは、飛来する敵のミサイルや航空機に対する
艦隊防空用に米国が開発した。多数の目標を探知、迎撃する能力を持ち、
海上自衛隊は現在5隻のイージス艦を保有している。

(朝日新聞 2007年04月04日07時15分)


読売新聞4月1日:イージス艦秘密情報、海自2曹は無権限の同僚から入手

海上自衛隊第1護衛隊群(神奈川県横須賀市)の護衛艦「しらね」の
2等海曹(33)がイージス艦情報を持ち出した事件で、
情報は、2曹が同僚のパソコンからコピーしたものだったことが31日、わかった。

 情報には、イージス艦の性能を示すとみられる「数値」が含まれていたが、
この2曹や同僚は、秘密情報に直接アクセスできない下士官で、
アクセス権のある別の隊員がかかわっていた疑いもある。

(以下省略)

共同通信3月30日:海自の秘密情報持ち出し 2等海曹、妻は中国人

2曹の妻は中国人で、神奈川県警が今年1月に入管難民法違反の疑いで妻を逮捕し、
2曹の自宅を家宅捜索した際、FDなどを発見、押収したという。

 捜査当局は情報が外部に漏えいした可能性もあるとみて、
自衛隊法違反(秘密漏えい)などを視野に入手経路や目的などを慎重に調べている。
海自も2曹らから事情を聴いている。

 2曹は、海自の内部調査に対し、外部への情報提供などは否定しているという。


海自2曹情報持ち出し 米軍へ被害拡大も 中国人妻、数々の「奇行」

「外部への情報提供はしていない」。イージス艦情報を持ち出した
海上自衛隊第1護衛隊群(神奈川県横須賀市)の2曹は、
海上自衛隊などの調べに対し、情報を第三者に渡したことは否定している。
だが、不当な方法で収集しただけでも罪に問われる「特別防衛秘密」を
2曹はなぜ持ち出したのか。2曹の中国籍の妻(33)は昨年12月、
自ら入国管理局に出頭し、オーバーステイであることを認めるという
“奇行”に出ており、海自や公安当局は関心を寄せている。
 自衛隊幹部によると、2曹が持ち出した「イージスシステム」の根幹部分は、
同盟国の日本にも開示されていない。自衛隊が保有するイージス艦は、
船体自体は国内で製造されているが、高性能レーダーによる敵機探知や
ミサイルでの迎撃をつかさどるシステムの“心臓部”は
ブラックボックスのまま米側から提供され、船体に搭載するだけという。
 ただ、レーダーの探知能力など性能に関するデータは、
イージス艦を運用する上で隊員も把握する必要があり、
レーダーを操作する隊員らにも、性能などの資料が配布されているとされる。
 イージス艦は北朝鮮の弾道ミサイルを探知・迎撃する要。
発射されたミサイルの航跡情報などを共有するため、
日米のイージス艦同士で情報交換も行われており、仮に今回の事件で米軍の
作戦指揮に関連する情報が漏れていれば、米側への被害も大きい。
それほど重要な秘密情報だ。
 情報持ち出し事件の発端となったのは、
中国籍の妻の入管難民法違反容疑事件だった。
 公安当局によると、妻はこれまでに少なくとも2回、不正入国している。
平成16年初めに窃盗容疑で逮捕され、取り調べの結果、不正入国が発覚。
同年2月に強制退去処分を受け、中国に戻った。
 ところが、再び日本に密入国。横浜中華街の中華料理店などで働いているうちに、
知人の紹介で2曹と知り合い、18年10月に結婚。
横須賀市内の2曹の自宅に転居した。
 だが、結婚から3カ月目の同12月、自ら入管にオーバーステイだと出頭した。
海自や公安当局は妻のこうした「奇異な行動」に不審を抱いており、
2曹の情報持ち出しとの関連を慎重に調べている。

(産経新聞iza 2007年4月4日)


-----------------------------(引用終了)----------------------------

いや〜日本の自衛隊の情報管理と情報公開は世界一ですね。

なんて皮肉でも言ってやりたいほど、嘆かわしい話です。

記事を読むと、これはかなり問題の根は深いと感じてしまいます。

もし、二曹ごときでも簡単に入手できるような管理システムなら、

それはそれで問題がありますが、

イージスシステムの中枢の資料なんて、2曹ごときが入手できないと思うので、

ダイレクトにイージスの機密に接触できる人間は限られるでしょうから、

逮捕された2曹はただの情報の運び屋で、

隊内の上層部に中国かどこかの息の掛かった人物が居て、

スパイのネットワークが出来ているのではないかと、

疑ってしまうのはスパイ小説の読みすぎでしょうか。

あと、情報を持ち出した2曹に、

中国人の女性を紹介した知人というのも気になります。

 今回の漏洩問題は根が深く、単に情報を持ち出した2曹を処罰したり、

犯人捜しで終わってしまうだけでは問題の本質を見誤り、

根本的な問題の解決にはならないのではないかと思います。

昨年もファイル交換ソフトWinnyで情報を漏らす自衛官が多発したように、

そういった重要な情報が漏洩しにくいように民間企業を見習い、

組織内のブラックボックス化を推進し、重要な情報を漏洩できないように、

再発を防ぐような手段を早急に構築する必要があるのではないでしょうか。

 何にせよ、軍事機密をいとも簡単に漏洩させるようでは、日本の信頼は失墜。

こんな情報が漏れまくる国に、今後、最新鋭の戦闘機(ラプター)や

最新装備なんて売ってくれるのでしょうか。

また、このような事実を目の当たりにすると、

スパイ防止法の成立や諜報機関の設立を望みますが、

自衛隊が情報に関して脇が甘いことや、

他国に対する警戒感が皆無というのも大問題ですが、

そもそも、重要かつ基本的な国家の安全保障というものに対する考えが欠けており、

スパイ防止法が成立したり諜報機関が設立されたとしても、

情けないかな、もう手遅れなのではないかとさえ思えてきます。

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名塚元哉 |←ホームページ