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2006年11月18日(土) メディアの中の虐められる側へのアドバイスについて

「一人で苦しまないで」=いじめ問題で緊急アピール−伊吹文科相

いじめを苦にした自殺や自殺予告の手紙が相次いでいる問題で、
伊吹文明文部科学相は17日夕、緊急に記者会見し、
いじめの根絶を子どもたちや保護者、学校関係者らに訴えるアピールを出した。
 伊吹文科相は、子どもたちに
「いじめは恥ずかしいこと、ひきょうなこと、すぐにやめよう」
「一人で苦しまず、いじめられていることを話す勇気を持とう」と呼び掛けた。
 文科相(文相)の緊急アピールは、いじめによる中学生の自殺が続いた
1996年1月と、ナイフを使った事件が多発した98年3月に次いで3回目。
文科省は、アピールを教育委員会などを通じてすべての小中高校に送り、
児童生徒一人ひとりと保護者全員に読んでもらうほか、ホームページにも掲載する。 

(時事通信 11月17日20時1分更新)


-----------------------------(引用終了)----------------------------

TVメディアが論ずる「虐め問題」に違和感を感じることが多いです。

この違和感は、虐められる側、虐める側、学校の対応のこの三つを

一括りにし論じていることに対しての違和感だと思います。

一口に「虐め」と言っても様々なケースがあり、

各自でその概念も違ってきます。

TVは、時間という制約に縛られているので仕方ないこととはいえ、

一括りにして論じてしまうと、重要なことがぼやけてしまうのではないでしょうか。

 現在、メディアの中で語られる虐め問題への文脈で、

虐められる側への意見として様々な言葉が取り上げられています。

その中から思うことを述べます。

先日、埼玉県の上田知事が会見で「死ぬ気があれば戦え」

という趣旨の発言をしたそうです。

11月15日付:中日新聞知事『死ぬ勇気あれば戦えばいい』

「死ぬ気があれば戦え」というのは、一見正論に思えますが、

一番的外れで、虐められる側の心情を考慮していない発言です。

戦う気持ちがあれば、虐めが始まってすぐに抵抗しているはずで、

抵抗すれば虐めが酷くなるのでないかという恐れや、

一対複数の虐めでは、その抵抗する気持ちが起きることなく、

抵抗がなければ虐める側は味を占めエスカレートさせるので、

虐められる側は誰かに救済されない限りは、死を選ぶまでに至ってしまうのです。

 他に、武田鉄矢さんが「いじめられる奴は鍛えろ」という発言をされていました。

11月10日付:サンスポ「死んじゃダメ!」武田鉄矢が中学生へ“金八流”メッセージ

深刻ないじめ問題について、「いじめる奴を説教しても変わらない。
問題はいじめられる奴で、大事なのはいじめられる奴を鍛えること」
と金八流の考えを示した。



この発言に似たようなことを多くの方が主張されています。

私は島本和彦先生のマンガや森田健作さんの熱血ドラマ系が大好きなので、

この精神論・根性論も大好きなのですが、

しかし、ゆるい時代に生きる現在の多くの子供には、

この精神論、根性論は通じないように思えます。

虐められている側にすれば、まずは自分が置かれている

今の現状をどうにかしてほしいので、

心や肉体を鍛えるのは二の次の話です。

また、私はこうやって虐めを克服したというアドバイスは、

価値があるように思えますが、虐めにも様々なケースがあり、

時代背景や環境や人それぞれの価値観も含まれてくるので、

有効なアドバイスになることは少ないと思われます。

今週からでしょうか、朝日新聞朝刊の1面で、

「いじめられている君へ」と題し、

各界の著名人が虐められている人へのアドバイスが掲載されています。

ほとんどの方が「誰かにSOSを発しなさい」という内容です。

人間は生きていく中で、様々な逆境や困難に遭遇します。

確かに困難に立ち向かう勇気も必要ですが、

社会的経験の少ない子供には誰かの救済なくしては

困難に立ち向かい克服はできません。

今の時代においての虐められている側の救済は、

朝日新聞が行っているような、自殺という逃げの選択肢を選ぶよりも、

まずは学校から逃げたり誰かに相談したりする気持ちを促すことが

得策で有効のように思えます。

最後に、朝日新聞朝刊の1面の「いじめられている君へ」ではありませんが、

同じ朝日新聞の11月15日付朝刊に掲載されていた

『夜回り先生』こと水谷修さんの言葉を引用します。

いじめられている子へ。

つらさを抱え込まないで欲しい。
君たちは1人の大人に裏切られると
「大人なんて」と、1人の先生に裏切られると「先生なんて」と、
1人の仲間にいじめられると「みんなにいじめられて自分はだめだ」と抱え込む。
抱え込まないで泣いて叫んで暴れていい。
そうして訴えよう、その心のつらさを。
心が破裂する前に。
そうすれば、必ず助けと救いは来ます。
生きてさえいれば必ずいいことがある。
沖縄でね、中学時代にいじめにあい、高校も1カ月ぐらいで行けなくなった子がいた。
僕とふれあって、2学期に保健室登校をしてみるかと持ちかけた。
その際に「人のために何かやると変わるよ。朝7時半に学校へ行け。
教室の机をきれいにふいて並べておけ」と頼んで9月からやらせた。
10月の朝、女の子が4人来た。
4人は「ありがとう。私たちもやるからね」。
この子はいま学校に元気に行っているよ。戦うだけでなく人に優しさを
配ることができたら必ずリアクションがあるよ。






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