生まれたばかりの赤ちゃんからお年寄りまで、日本国民全員に11ケタの番号を振って、住所、氏名、生年月日、性別、病歴などのさまざまな個人情報を一元管理する「住民基本台帳ネットワーク」が8月5日にスタートしようとしています。僕は日本の政府がすることですから、中途半端に実行するのではないかと強い危機感を持っています。このシステムは技術的に見ると、情報が漏れたり、犯罪に悪用される可能性がかなり高い、とても危ういものです。国は、行政事務ごとにネットワークを分け情報管理するので、お互いの情報がクロスすることがないと言いますが、実際、市町村単位の現状をみると、財政難から、一つのコンピューターで一括管理している所もあるという話です。数年経てば、コンピューターやハードディスクも古くなり破棄されます。そこから残った情報を引き出し、悪用されることだってないとは言い切れません。希望者には配られるICカードも問題です。パスワードによるデータ保護を破って、カードから個人情報を引き出し、勝手に情報を書き換えられる可能性もあります。そして、日本は本人確認をあまりせず、運転免許書、保険書を再発行することでも知られています。他人が自分に成りすまし、免許証や保険証を作り替え、それを使って本人の知らない間にサラ金で多額のお金が借りられているという事件も近年多発しています。だから、赤の他人がICカードを受け取ることも出来るでしょう。多くの危険性に対して、個人情報を守ろうというシステムは皆無です。情報の目的外利用についての罰則規定もありません。防衛庁が情報公開請求書リストを作り、省庁LANに載せるようなことが、簡単に出来てしまいます。役所に勤める人が、“ちょっと見る”感覚で、情報ののぞき見だってできるのです。国民のデータが徐々に集まるなか、総務省は、セキュリティについてはこれから検討するというお寒い状況です。システムを作るのが人間なら、システムを壊すハッカーも同じ人間なのです。そして彼らの方がおそらく一枚上手でしょう。番号通知表の発送についても多くの問題があります。番号通知案内は、市町村単位で発送するのですが、多くの市町村は財政難から普通の封書やシール式の普通郵便で発送するそうです。郵便事故による誤配などの危険については、全く考慮されていないのです。国から出る費用は普通郵便分だけ。確実に届く配達記録郵便の利用は、今回のような重要な情報に関わるものの場合、最低限必要な措置だと思います。市町村は、今回の件で配達記録郵便を利用できるだけの財政援助をしない政府をもっと批判するべきです。とにかく、住基ネットワークは今すぐ凍結して、もう一度、法律学者や科学者を交え、議論し直すべきだと思います。ネットワーク技術と現状を全く分っていない国会議員だけに任せていたら、近い内に大変な事態が起こることでしょう。現在の日本政府の体制は、無知、傲慢、危機感のなさ、情報無視、非科学的精神主義において“何とかなる”と戦争に突入した旧日本軍のそれと全く変わっていません。ある日、私たちの手元に11ケタの番号が書かれた紙が送られてきてからでは、もう遅いのです。 ↑投票ボタンです。押してくれればやる気が出て日記更新します。←今日の空はどうなの?