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2002年07月15日(月) クリエイティブ・コンフリクト

長野県という土地は、日本列島の真ん中にあるから、

田中角栄のようなカリスマ政治家がいなくても、あるいは陳情合戦しなくても、

高速道路や新幹線がなんとなく通ってしまった。

ところが、長野行政はそれを自分達の実力と勘違いして、

だから、ダムも何とか作れるんじゃないのかと思っていたんです。

しかし、田中康夫知事が居続けると、

県の財政構造が変わってしまいます。

長野県はこれまで公共工事に重きをおいてきましたが、それがなくなります。

田中氏は公共工事を行うことによって、出来上がった施設(ダム)に

ランニングコストが発生することを危惧しているのです。

ダムを作れば、ダムの維持管理、人件費が発生します。

しかも、ダムは収益を生み出しません。

ですから、ダムを作っても、財政難の長野県に何のメリットも無いのです。

確かに雇用は発生しますが、ダム1つの運営に、

長野県および長野県民が潤うだけの雇用は発生しないのです。

また、工事を行うにあたっても、

おそらく他県の大規模のゼネコンが工事に当たることでしょう。

ですから長野県の産業に、メリットは出ないのです。

しかも工事が終わってしまえば、すぐにその効果は消えてしまいます。

ですから、ダムに限らず公共工事に依存した政策は、

財政難の自治体にとって非常に怖いわけです。

脱公共工事は財政難の自治体にとって非常に合理的な政策だと思います。

しかし、昔から公共事業というカンフル剤を打ち続けて、

中毒になっちゃった人は、クスリには「副作用」が伴う事に気付かない。

長野にオリンピックを誘致しても、財政難は益々高まる。

落ちていく時にカンフル剤を打ち続けても悪くなるだけ。

県民はこの状況を抜本的に変えなければと、田中康夫を知事に選んだんです。

しかし、私利私欲に溺れ、県民のことは二の次三の次の

県政会は、あの手この手で「目の上のたんこぶ」田中氏を追い出しました。

そして、田中知事は今日、議会を解散せず失職することを表明。

田中知事は議会を解散せず自ら失職し、再選挙で再選されることによって、

「自らの意見を県民は支持している」と言う事実を県議会

に突きつけようとしているのでしょう。

これは、田中氏が就任当時から言っている

クリエイティブ・コンフリクト(創造的な葛藤)そのものです。

これまで通りハードウエアに依存するのか、

一人一人で考え答えを出すソフトウエアがいいのか、

長野県の県民益を真の目的とした、本当の民主主義を呼び戻すには、

県民益に全力投球の田中氏の支持を一層高める以外はないようです。

今、長野県は民主主義を試されているのです。




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名塚元哉 |←ホームページ