TV番組『ここがヘンだよ日本人』で、お馴染のアメリカ人ケビン・クローンをご存知でしょうか?フリージャーナリストでプロフェッショナルディベーターのいつもけんか腰の生意気そうなアノ人です。先週の放送でも、「日本は、憲法9条があるから、攻められても攻撃できないだろうが!だから、アメリカが基地を作って守ってやってるんだ、ありがたく思え!」とか腹立つ発言を繰り返してましたね。そんな彼の書いた本が売っていたので、思わず買ってしまったんです。(笑)読んでみると、なかなか僕の考えと似たところも多くて読んでいて面白かった。たとえば、日本人は「和の精神」と「忠義」だけで動く。簡単に言えば、個人主義不在の全体主義(甘えの構造)による無責任主義です。だから、薬害エイズ事件や、最近の雪印偽装事件、鈴木宗男の圧力によるNGO排除問題など、お上の命令に従い動く事件が絶えないのです。個人主義が根ざしていれば、「これは間違っている」と誰かが忠告できるのです。日本は、個人主義がなく甘えの構造だけですから、「誰かが責任とってくれるだろう」と思考を持たず、ずるずると落とし穴に進んで嵌っていくんですね。個人主義=それはリスクを伴います。だからこそ、失敗は許されないと何事にも真剣に取り組めるのです。『水戸黄門症候群』の話は興味深かったですよ。日本人は水戸黄門を見て育つから、権威に弱いという発想。黄門さまを見たから、権威に弱いとは一概に言い切れませんが、(ちなみに、僕は水戸黄門を一度も見たことがありません。)確かに、日本人は権威や学歴にとても弱いと思います。官僚の菊のご紋、議員バッジも、弁護士の向日葵も、権威主義の表れです。欧米の議員、弁護士はバッジをつけません。それはなぜか?上に立つ者は常に民とともにある「公僕」、民の代表と考えているからです。その逆で日本は、お上「頭が高〜い」一般国民「はは〜。」このDNAが江戸時代から受け継がれ、民主主義をとりあえず取り入れちゃったから、権威に言いなりの身分制度をいつまでも引きずっている。日本の裁判は正義で裁くことなく忠義で裁くから、納得できる判決が出ない。コレもごもっともだと思います。個人主義を生み出すのはディベートです。これはケビンに限らず、色々な国の人が言っている事です。だから、『ここヘン』では、各国の人々が自らの理論を持って堂々と発言してるんですな。日本に個人主義が根付かないのは、日本人は討論が苦手=話し合いをしない人種だからだと、この本を読んで改めて気づかされましたね。●和の精神● 個人の考えを出さず、周囲の人や所属する団体のためになることを優先させる日本人特有の考え方。