白い木蓮の花の下で  

    〜逝くときは白い木蓮の花の下で〜

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引越し先 白い木蓮の花の下で


2005年05月14日(土) 思い出の人形。

このたび10歳の時から大切にしていた人形を捨てることにした。

特別な事情がある訳でなく、ここのところ、すっかり思い入れが無くなっていることに気付いたから「そろそろ捨てるか…」と思ったに過ぎない。人形の名前はアリス。小公女のヒロイン、セーラ・クルーが愛した抱き人形のような、典型的な「お人形さん」である。アリスという名前は『不思議の国のアリス』ではなく、『エレン物語』に登場した「アリスお姉さま」由来する。アリスお姉さまは牧師の娘さんで、ヒロインに「なすべきつとめを成しなさい」という言葉を残した早世の美女で、長らく私の憧れの女性でもあった。

幼い頃は心の拠り所でもあったアリスだが、彼女に語りかけることもない今、手元に置く意義は無いなぁ……ってことに気が付いて、捨てようと思った次第。

20年も大切にしていた人形をゴミとして捨てるのには抵抗があり、信仰も無いのに「人形供養にでも出すかな…」とて調べてみた。人形供養をしているお寺や神社は沢山あるが、儲け主義と言うのか、イマイチ納得がいかずに、結局ゴミとして捨てることに。「今までありがとう」とお礼を言って、ゴミ袋に詰めたら充分かな……と。結局のところ人形は物に過ぎない訳で、供養ってのも持ち主の気持ちの問題だろうと。

20年も一緒に連れ添った人形だが、埃まみれになっていた戴き物の縫いぐるみと一緒に、ゴミの日に捨てる。大切な人形だったが、捨てるとなるとゴミ……ってことろは、ちょっぴり切なくあるけれど、これもまた仕方のない話。大切な物は年月の流れと共に変化していくのだもの。今の私が必要としているのは、アリスの実態ではなくて、その思い出だけなのだと思う。

人生の基本は等価交換……とまでは言わないけれど、人形のアリス以上に大切なものもある訳で。それにつけても区切りとか別れは突然やって来るもんだと、心境の変化に我ながら驚いてみたところで今日の日記はこれにてオシマイ。


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【同月同日の過去日記】
2003年05月14日(水) しゃぼん玉♪
2002年05月14日(火) 病人ルンバ。

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