訳あって、故人のPCのメンテナンスをした。故人のPCといっても専有機ではなく、共同使用者がいて、その共同使用者はPCオンチゆえに「なんとかして欲しい」と頼まれてのことだった。
PCのメンテナンスといっても大それたものではなくて、デフラグかけたり、スキャンかけたり、その他諸々。ちょこちょこっと環境を整えたに過ぎなくて、大それたものではなかったのだが。
PCを触っていたらば故人の書いた文章を見つけて……読んでしまった。
日記と呼ぶには簡潔過ぎる闘病記録。どんな薬を飲んだとか、どういう治療をしたとか。個人的な感想や愚痴は一切なくて純粋な闘病記録だった。それと闘病仲間に配っていただろうフリーペーパー類。真面目だった故人が偲ばれるような内容だった。
故人が逝ってしまって、かれこれ1年。今頃になって、ああいう物を目にするとはなぁ……。プライベートなことは一切排除した文章で、PCを触る人間が誰でも読めるような場所にあったとは言うものの、読むべきではなかったと思う。見つけた瞬間「読んじゃ駄目」と思ったのだが、好奇心に負けて読んでしまった。技術者として生き、生涯娶らず、長い闘病生活を送った故人が、どんな文章を書いていたのか、読んでみたかったのだ。もちろん故人が好きだったから……という気持ちもあった。
もしも故人がこのことを知ったら……きっと笑ったんじゃないかと思う。「そんな、つまらない物を読むなんて物好きやなぁな」と。だけど、やってはいけないことをやってしまったなぁ。恥ずかしいことをしたと深く反省している。
自己嫌悪に陥りつつ、故人のことを偲びつつ今日の日記はこれにてオシマイ。