白い木蓮の花の下で  

    〜逝くときは白い木蓮の花の下で〜

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引越し先 白い木蓮の花の下で


2001年11月25日(日) 「大丈夫ですか?」

毎日、仕事ばっかりしているので滅多にTVなんて観ないのだけれど
昨日、なにげな〜〜くTVを観ていたら
なにやらサスペンスドラマだか、刑事ドラマの1シーンが目に止まった。
ピストルで撃たれて豪快に流血している男性に向かって
その男性の知人であろうと思われる男性が
「大丈夫かぁぁ!!」と駆け寄っているシーンだった。
どこから、どう見ても大丈夫ではなさそうだというのに。

「大丈夫な訳ないよなぁ」

思わず呟いた私に、事故で指を2本失った愚弟が言った。

「そんなもんやで。あぁいう場合。
俺も事故して血ぃダラダラ流してる時
大丈夫か? って聞かれてさぁ
『はい。大丈夫です』って答えてたし。
ぜんぜん大丈夫ぢゃなかったのにな」

うむ。そりゃそうだ。
たとえ、指2本無くしちゃうくらい大変な事故に遭ったとしても
「大丈夫ですか?」と問われれば
「大丈夫です」と答えるのが世の条理ってもんだ。

「大丈夫ですか?」

ほんの短い言葉ではあるけれど、なかなか含蓄の深い言葉だ。
「大丈夫そう」な人に「大丈夫か?」と尋ねる人はいない。
「大丈夫でなさそう」な人だから「大丈夫か?」と問うのだ。
「大丈夫か、どうか」を確かめたくて
その言葉を口にする人なんて、まずいないだろう。

「大丈夫ですか?」を、くどくど要約すると、こんな感じだろうか。

大変そうにお見受けしますが、いかがなものでしょうか?
すっごく心配してるし、何か出来ることがあったら言ってください。
私にできることがあれば、力になりたいと思っています。

ほんに日本語と言うものは奥が深い。
たった1つの単語を取ってみても
ストレートに使用されない場合が多いような気がする。

「大丈夫ですかか?」と問われた時、咄嗟に
「見ての通り、ぜんぜん大丈夫ぢゃありません」とか
「もう駄目です。駄目に決まってます」
なんて切り返してみたいなぁ
……と愚弟に言ったら
「なんで、そんな発想が出てくる訳?」
……と問われた。

「いや。なんとなく一流の芸人っぽくて、格好いいかなぁ。なんて」
そして愚弟は切り返す。
「素人の姉が芸人である必要って、いったい?」

愚弟のツッコミ・ポイントは正しい。
たぶん私は、これからも
「大丈夫でなさそう」な人に「大丈夫ですか?」と問い
「大丈夫ですか?」と問われれば
たとえ大丈夫でなかったとしても「大丈夫です」と答えるだろう。

「大丈夫ですか?」

この短い言葉には
シャイな日本人の真心が込められているような気がする。


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