金色の夢を、ずっと見てる

2004年06月01日(火) 命の重さをこんな形で知るなんて・・・

また子供の事件だ。しかもまた加害者も被害者も子供。聞けば、加害者の方の子が被害者の方の子を呼び出し、カッターで切り付けたらしい。


加害者の子に関しては、まぁ当然かもしれないけど個人情報は今のとこ一切漏れてない。まだ11才だから『逮捕』もされないようだ。(かつてのいろんな事件のように、どこからか顔写真や個人情報が流出するんじゃないかと思うと心配だが)

給食が始まる時に血だらけで戻ってきたその子に『それはどうしたんだ』と担任が尋ねると『自分の血じゃない』と答えたらしいが・・・・・彼女は、自分が友達を殺してしまったと言う事をどこまで理解してるんだろう?

小学生の頃って、わりと簡単に
「殺してやりたい」
とか
「命かけてもいいよ」
とか言ってたような気がする。別に命を軽く扱ってたとかじゃなくて、その重さがまだわかってなかったから言えてた事だ。

被害者の子は首を切られてたらしい。加害者の子は、『首を切る』(というか、頸動脈を切る)と人は確実に死んでしまうと知ってたのだろうか。人が1人死んでしまうという事がどれほどの重さなのか、知っていたのだろうか。

これから、彼女はどうやって大人になるのかなぁと思う。2人の間にどんな経緯があったのかはわからないけど、もともとは友達だったらしい。本気で殺す気があったにしてもなかったにしても、『友達を自分の手で殺した』という事実の本当の重さがわかってくるのはこれからじゃないんだろうか。

周りの人間は、『彼女が人を殺した人間である』と知っているわけだ。その環境で、どうやって普通に生きていけるのだろう。

中学の時、殺してやりたいと思った相手がいた。でも友達にそれを話したら、
「あんな奴の為に咲良の将来を無駄にするのはもったいないよ」
と言われ、それもそうかと思って踏みとどまった。

今にして思えば、その子がいてくれて本当に良かったと思う。でも加害者の子には、そういう存在はいなかったんだろうな。殺意を感じて、友達や他の誰かに相談する間もなく実行しちゃったんだな。

あの子の姿は、1歩違えば過去の自分の姿だったのかもしれないと思うと、なんだか辛い。


ニュースなどではなぜカッターがあったのか(持ってたのか?)という事がさかんに言われてるようだが、結構持ってないか?自分が子供の頃も、普通にカッターとかハサミとか学校に持って行ってたと思うけど。

これで刃物の持込みにも規制がかかるようになったりしたら・・・・・・それはさすがに何かおかしいだろうと思うのだが。

ベタなコメントだという事は百も承知で言わせてもらおう。

最近の子供は、様々なマスコミ媒体を通じて『人の死』というものに対して免疫ができてしまっている。さらにTVゲームなどで簡単に何かを殺すという経験をしてしまえる。その結果、『人を殺す』という事が子供達の間でさほど重みを持たなくなっているように感じる。

その反面、物騒な世の中になった事で周りから守られる事が当たり前になり、結果として人の痛みに対して無頓着になってしまっているんじゃないだろうか。


私達が子供の頃、(かれこれ15年ぐらい前の話になってしまうが)カッターやハサミや包丁等はわりと普通に私達子供の手が届く所にあった。もちろん極々小さな頃は親から『危ないから触っちゃいけません』と言われていて、ある程度大きくなって、小学校に入った頃から工作や家庭科の授業でそういった物に触れる機会が増え、手を切ったら痛い、人に向けたら危ない、攻撃する為に使ってはいけないという事を自然に覚えていった。


いきなり話は変わるが、友達の家のキッチンは最近増えてきた『オール電化』だ。台所はガス台ではなくてIHヒーター。不思議なもんで、鍋やヤカンを乗せているとちゃんと焼けるし煮えるしお湯も沸くのだが、手で触っても熱くはない。
「ちょうど子供が手が届いちゃう高さだから、この方が安心よ」
と彼女は言う。最近中古の一戸建てを買った友達も、台所はリフォームしてオール電化のキッチンにした。
「やっぱ子供が火傷したりとか考えるとね〜」
とその彼女も言った。

でも、と思うのだよ。

そうしたら、その子供達はどこで『火は気をつけないと危ないよ』って事を学習するんだ?

まぁどこかでそういう経験をする事はあるんだろうけど、やっぱ『自分で痛い目見て学習する』ってのが一番いいと思うんだよな。ヨーロッパのどこかの国では、わざとあかちゃんの時にストーブとかで軽く火傷させるんだって。『火は危険なものだ』って事を、理解させるというより本能に刻みつけるんだろうね。そこまで極端な事はしなくていいと思うけど、あんまり先回りして危険を遠ざけちゃうのもどうかなと思うよ。人間なんて、自分が経験した痛みにしか同情できないんだから。


殺されちゃった子供も本当に可哀相だし、ご両親の気持ちを考えるとかける言葉も見つからないが、殺してしまった子供も可哀相だ。これから成長するにつれて、自分が犯した罪の大きさを知る事になる。失った物の重さを理解し、自分の家族等の周囲に与えた闇の深さもわかってくるだろう。


14才以下だから逮捕されないんだよラッキー、なんて考える子じゃない事を願わずにいられない。出来る事なら、彼女の心に寄り添って、導いてやれる大人が身近にいてくれますように。


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咲良 [MAIL]

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