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風にのって龍が翔ぶ
瑠奈
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2003年10月02日(木)
知恵子抄 二

高村智恵子は精神分裂症になり45歳で肺結核で亡くなった 智恵子もまた芸術家であった 智恵子が狂った理由として光太郎自身は彼女の猛烈な芸術精進と、光太郎への純真な愛に基く日常生活の営みとの間に起こる葛藤だという 純真な智恵子には主婦と画家を両立させる技巧がなかった 光太郎は智恵子と二人でひとつだと思っていたが智恵子にとっては自分がつぶれての二人でひとつだったのではないか しかしわたしは智恵子は不幸せだったとは決して思わない あんなにまで愛され愛し貫いた 愛する人は幸せだと思う そしてそれに応える愛があれば幸せはその何倍にもなる この小さな詩集がずっと読み継がれてきたのは類まれな愛の詩集だったからではない 生とは、死とは、愛とは、人間が人間らしく生きるとはどういうことなのかを常に問いかける 一組の男女の誠実な生の試みが時と処を越えて人の心を揺り動かすから戦争の最中であろうと殺伐としたこの現代であろうと読み継がれてきたのだろうと思う
壮絶なまでに智恵子を讃えた歌

「あなたはだんだんきれいになる」

おんなが附属品を棄てると
どうしてこんなにきれいになるのか
年で洗われたあなたのからだは
無辺際を飛ぶ天の金属
見えも外聞もてんで歯のたたない
中身ばかりの清冽な生きものが
生きて動いてさつさつと意慾する
おんながおんなを取りもどすのは
かうした世紀の修行によるのか
あなたが黙ってたっていると
まことに神の造りしものだ
時時内心おどろくほど
あなたはだんだんきれいになる