まつや清の日記

2007年01月20日(土) 映画『みえない雲』を観る

 空を覆う放射能をいっぱいに吸った黒い雲、逃げ惑う原発周辺の住民を追いかけるように進んできます。そのシーンは、ただ、黒い雲が空に広がるだけの情景なのですが、息の止まるほどの緊張と迫力で観客をクギ付けにします。

 スリーマイルもチェリノブイリも経験した後だけに、パニック化する住民の姿が極めてリアルに伝わってきます。スピルバーグ監督、トムクルーズ主演の『宇宙戦争』の空からの宇宙人来襲の恐怖感をはるかに越えている事を実感しました。

 そして、主人公ハンナが逃げることに疲れ動こうとしない弟を「あの丘を越えたら水も飲めるよ」と元気づけたその直後、坂道で自転車のブレーキがきかないスピードとなり、道路を出たところで車にはねられて即死する場面で絶望となります。

 ショック状態にあるハンナを助けようとしてくれる家族があるにもかかわらず、汽車にのれず、黒い雨にずぶぬれとなって放射能を浴びて急性症状で病院で気がつきます。病院で恋人エルマ−との再開でラブストーリーを編みこんで展開します。

 最後は、3ヶ月後に進入禁止区域が解除となりハンナとエルマーが放置されていた弟の遺体を土に埋め墓標をつくり、2人が放射能被爆を抱えながらもお互いに信頼を確認して生き続ける未来を示すドライブシーンで終わります。

 この映画は、チェリノブイリ後の1987年に発表され大ベストセラーとなった小説『雲』を原作としています。静岡県は東海大地震切迫地域、原子力災害と地震を扱った『原発震災』と言う小説もあります。

 昨日は浜岡裁判、6回目の証人尋問、中央防災会議の委員でもある溝口恵東京大学名誉教授が証人でした。3月に予定の承認調べが終了し、5月に結審、9月に判決となりますが、裁判官には是非とも、この映画を観て頂きたいものです。


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K.matsuya

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