2005年11月14日(月) |
『韓国のデジタル・デモクラシー』(集英社新書)を読む |
この本は友人に勧められて読みました。韓国通としては恥ずかしながらというところですが、本当に面白く刺激的な本です。帯には、姜尚中氏「メディアと民主主義をめぐる実験場としての韓国。本書が描く新しい韓国像は、日本の近未来を先取りしている」、筑紫哲也氏「韓国を見よ!”韓流”だけではない。世界最先端の電子民主主義が進行中。詳しくは本書を見よ。」と。
読み終えて私も驚きましたが、この本の結論は私の考えている北東アジア、ひいては東アジア、全世界の中での韓日の民主主義の連携という戦略的意味という点で不思議なくらいに問題意識が重なっています。私が、今年の5月に日本の自治体議員グループの政策研究で韓国を訪問した時に、私が韓国側メンバーに問題提起した内容とほとんど同一です。著者の玄武岩(ヒョン・ムアン)さんのあとがきが2005年6月3日です。
この本には、 1,当然表題の通り、韓国のインターネットがこの20年間の民主主義の成熟の過程にどのような役割を果たしたか、が書かれています。 2,同時20年というのは、1987年の盧泰愚大統領の「民主と和解のための時局収拾特別宣言」から金永三、金大中、盧武鉉大統領の時代で、この歴史がよくわかります。 3,この20年の韓国の民主主義と日本の比較だけでなく、近代における韓国、日本の民主主義の歴史が相対的に描かれていて、よくわかります。 4,昨今の竹島問題に見られる「反日」問題が、韓国内民主主義の螺旋的発展の中にどのような存在であるかがよくわかり、日本の民主主義との連携の水準を提示しています。
「韓国の市民社会のパワーが、日本の市民社会に「逆輸入」されることで、日本の政治家が無視できない存在となっていく日も、いずれ訪れるだろう」
「韓国でも今後は、権力中心の政治から生活世界の論点を中心にした参加型の政治が重要になってくると考えられる。それには日本の経験が生かされるだろう。日韓の市民運動はそうしたそうした相互補完的な側面をもっている」
「いってみれば、日韓の市民社会の連帯は、北東アジアにおける国家を越えた連帯を通した共同体形成の先駆けとなりうるかもしれない。」
一読を勧めます。
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