2005年11月12日(土) |
映画『マザーテレサ』を観る |
何人もの方から勧められていた映画『マザーテレサ』を観ました。インドのカルカッタを舞台にした戦後からのマザーテレサの半生を描いた作品です。演ずるオリビア・ハッセー、昔の面影を残していますが、熟年のすばらしさを十分に魅せつけてくれました。
いくつも感動シーンがあります。 1,バチカンに新しい修道会を認めさせるシーン。 2,売名行為であった資金援助を受けたとされる事への対応シーン。 3,里親探しが人身売買と非難される事への対応シーン。 4,ノーベル平和賞受賞時での3ドルのペットボトルの水がインドの子ども1人の1年間の教育費だと発言するシーン 5,ハンセン病患者施設建設のために法王と会って、バチカンに先進国内の飢餓に対応する組織を提案するシーン。
しかし、圧巻は、やはりマザーテレサの活動に感動した全世界の人々が次々に慈善事業支援の動きを活発化していく中で、組織を作って対応することが新しい発展をもたらすとの「ささやき」に一貫して懐疑的であったことを示唆するシーンです。
映画の最後にそのことが明示されます。歳入が不足しているこの組織をどうするかを委員会で議論を始めているときに、即刻「組織を解散しよう」と、言い切ったマザーテレサ。組織の維持のために、自分が活動することでなく、貧困にあえぐ人たちをどうするか、そのことにどのように1人1人が動けるのか、考えること、祈ること、訴えること、このことがまず先だ、とする信念。
この映画の感想を聞いたとき、そして、自分で映画を観たとき、さっと頭に浮かんだのは、アジアを考える静岡フォーラムの代表を努めてくれた「天使の聖母修道女会」の石井シスターでした。
1988年に結成されたこの市民団体は何度となく解散の危機に見舞われながら細々と活動を続けています。そうした中でもいくつもこの市民団体に対応不可能と思われるような外国人の相談にも、「組織でできなければ、私個人でもやる」と信じられないような多額のい借金を行い、助けを求めている外国人を救い、そして助けられた外国人がきちんと時間をかけてその借金を返済するシスターの活動を何回も観てきました。
石井シスターの中にマザーテレサが生き続けていることを再確認した映画『マザーテレサ』でした。
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