まつや清の日記

2005年06月28日(火) こぼれ続ける涙

 今日は石原康彦さんの前夜式(お通夜)、会場のセレモニーホールには多くの弔問客が訪れていました。ミサのあと、最後に遺族を代表してシンガポールで暮らすご長女が挨拶をされました。

 日本への国費留学生もいないシンガポールで日本語を教えることのむなしさを感じていた自分だけれども、偶然に父と死ぬ前日に電話をした、父はいつか希望が生まれるといっていた、父の理想は平和、こっけいなくらいに理想を追い求めていた、父は、外国人に日本語を、日本人に外国語を教えていた、共に仲良く暮らす社会を目指して。外国人は日本で多くのストレスを感じながら生きている、・・・。「皆さん、絶望しないで下さい」。

 父が好きだった歌「大きな橋」。

 君と僕との間には目には見えない壁がある
 国境の壁、言葉の壁、歴史とくらしの壁がある
 この壁をくずしたら
 壁は倒れて海に浮かび
 海をわたる大きな大きな橋になるだろう

 涙がこぼれ続けました。

 彼女は、父親の命を奪った人間に対して愛を忘れないで下さい、といっているのです。何と気丈な娘さんなんでしょうか。心のわだかまりがすっーと消えていきました。そうなんです、アジアの架け橋たらんとした石原康彦さんが、中国人に殺害される、絶望的な気持ちが救われる想いでした。

 石原康彦さん、あなたは病に倒れ、絶望的な失語症から奇跡的に蘇り、一度しかないという人生を二度も生き抜きました。しかも二度とも疾風のごとく走り続けました。そして自らの命を奪った人間に愛を忘れることなく、大きな橋の向こうで待ち続けようとしています。石原康彦さん、残された者は、遺族の方がたと共に、あなたの遺志を引き継いで、平和の為に歩み続ける事を誓います。安らかにお眠りください。


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K.matsuya

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