まつや清の日記

2005年04月04日(月) ローマ法王の死と後継者選出=「コンクラーベ」

 死亡したローマ法王についての報道が全マスコミのトップを占めています。歴代2位の26年間在位、ポーランド出身、東欧の民主化、イラク戦争に反対、宗教対立の和解、そして同性愛・中絶反対など超保守教義など様々な側面が評価の対象となっています。

 その保守性ゆえの生命科学に対する宗教・倫理的見地からの「クローン胚研究を容認しない」とする姿勢についてはうなづける所があります。復古がもつ革命性とでもいうことでしょうか。ヒト胚やヒトクローン胚の作成は、生命倫理的な問題をはらみ、簡単に容認されていいものではありません。

 実際には、失われた組織や臓器を再生させる研究に有望と期待され、再生医療の実現に向けて、体のいろいろな細胞に分化できる能力を備えたヒト胚性幹細胞(ES細胞)を用いた研究が進められています。ES細胞からは、既に神経細胞、血管などを再生させる研究が進んでいるとのことで、患者の遺伝子を組み込んだクローン胚によるES細胞ができれば、再生医療が一挙に進むという期待されているわけです。

 クローン牛は既に静岡県の畜産試験場でも実験が行われ、全国の実験結果から死産が多いことが確認されています。市場にはまだでておりませんが、世論の関心は残念ながら低く、研究者にまかされているのが実情です。法王の実績評価をきっかけにヒトクローン胚研究に関心が生まれることを期待したいものです。

 ローマ法王の後継者選びを「コンクラーベ」というそうですが、後継者が決まるまで投票が繰り返され、投票用紙を燃やしてその煙の色で「決まったかどうか」がわかるというその決定過程は、日本語の「根(こん)くらべ」と音が重なり、選出の難しさを暗示するようで思わず苦笑でした。


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K.matsuya

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