2004年05月04日(火) |
映画『グッドバイ、レーニン』を観る |
映画の題名からして早く観にいきたいと。 ストーリーは、1978年、東ドイツ。 エリート医師が西に亡命するが、残った妻と子ども二人の物語。
精神的動揺を「乗り越え」妻・母は、「社会主義と結婚」し、共産党から表彰されるほどに社会活動に専念。 ところが、89年ベルリンの壁の崩壊前夜、息子のアレックスの民主化デモに参加する姿を目撃し、心臓発作をおこし昏睡状態に。
その間に、東ドイツは崩壊し西に「糾合」され、10ヵ月後意識を取り戻すものの、ちょっとのショックで心臓発作おこれば死に、いずれにしても数ヶ月の命と医師からの宣告。
そこから、アレックスが大奮闘。 母の精神的ショックを起こさないためにと自宅を10ヶ月前の東ドイツに再現。 東ドイツ製のピクルス、コーヒーなどスパーから姿を消した食料品、ゴミ箱をあさってカラのビンを探し入れ替える、涙ぐましいばかり。
母のテレビが観たいの希望にアルバイト先の映画監督志望の友人とテレビニュース番組まで製作。窓から見えるコカコーラの垂れ幕に驚く母などその過程がコミカルに描かれるのだが、途中から、アレックスに心境変化。東が西に糾合されたのでなく、西が東に糾合され、東ドイツが理想の国に生まれ変わるのだと。
いつ母が気づくかが、観客を引っ張る構図なのだが、その緊張は、幼き頃の思い出の場所での母の告白で一気に高まり最終章へ。後は映画を見てのお楽しみ。
涙に誘われるのは、母と息子、というより父親である自分からすると、亡命していた父からの母宛ての手紙を棚を壊して探し出し娘が読むシーン。 そして、母と父との対面シーン。 とまらない涙。
東ドイツ市民がどう時代を超えたかがテーマ。 西に糾合された東。 しかし、それでよかったのかの問いがあちこちに隠され観客に迫る。 「社会主義」のおかしさは勿論のことだが、資本主義・産業主義のもたらした車やテレビなど消費過剰社会のおかしさをも批判のトーンにしているところが普遍性として描かれており、コミカルの中に時代性がきちんと納まっている映画。
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