12月17日、議会の最終日、以下の討論を展開しました。 その前に、前日の議会運営委員会について報告します。
16日の議会運営院会は、12月8日の決算審議に際しての、花井議員と私の討論が様々な角度から批判を受けました。 曰く、討論時間が長い、決算審議になじまない主張をしている、というものであります。
討論時間については、議会運営上、特別の決めはありません。そんなことを決めたら議会の自殺行為です。言論の府である、議会が、知事から提案された議案について意見を述べる時間を自ら封殺するなど、とても考えられない対応ですが、議会運営委員会で、自民党の曽根議員と公明党の滝田議員が、強い口調で、討論時間についての意見を述べられました。共産党の酒井議員から、決算という1年間を振り返る議案討論の特殊性について反論が出されました。私は、傍聴のみですので発言は出来ませんでした。
議会事務局から、質疑についてはおおむね10分程度とする決めはあるが、討論時間については、決めはないとの答弁に、今後の課題とするということで、議会運営委員会は終わったわけですが、今後のこの制限を設けようとする動きがあるならば、大きな議会運営上の非民主的な動きとして県民世論に訴える必要が起きてきます。
決算審議になじなまいと指摘された部分は、私が決算審議のテーマとして東富士基地の問題で地元地権者と政府の交渉に、静岡県が立会人として関わっている問題の関連として、イラクへの自衛隊問題を論じたところです。今年の3月20日から始まったイラク戦争に東富士基地がおおいに関わっているという立場からの発言でしたが、しかも、それは02年度決算審議に関わる同年中の問題である訳ですが、説明不足もあったのかも知れませんが、決算議案とそれているという議員の方々の反応がが多かったようです。
いずれにしても、今回の問題が討論時間を制限するような事態に至らないようにと、今日の討論や質疑は割と、慎重におこないました。
以下は、今日の討論原稿内容です。実際は、その場での雰囲気やアドリブも含めていかに紹介する内容とは若干ずれていることをご承知おきください。
03年12月議会反対討論 03年12月17日
ただいま上程されております 第131号議案「静岡県一般会計補正予算中、西遠地区新構想高等学校(仮称)PFI事業契約」について 第133号議案「静岡県税賦課徴収条例の一部を改正する条例」 第135号議案「静岡県事務処理の特例に関する条例の一部を改正する条例 第136号議案「電子署名に関わる地方公共団体の認証業務に関する法律施行条例」 第144号議案「市町の廃置分合について(伊豆市)」 第145号議案「市町の廃置分合について(御前崎市)」 に反対し、 請願第2号(その1)「すべての子どもに行き届いた教育を進めるための請願 (その2)「すべての子どもに行き届いた教育を進めるための請願」 不採択に反対 の立場から、討論を行います。
第131号議案 この一般会計補正予算には、PFI手法を用いて作られる浜松市につくられる高等学校について62億8900万の債務負担行為・議案が含まれておりますが、この提案に反対です。 反対理由の第1は、PFI手法自体を否定するものでありませんが、初めての事業に教育という公性が強い高等学校建設を選択されているという点であります。何故、教育委員会の学校建設にPFIであるかについて、県民の声を幅広く聞く必要があるにもかかわらず、極めて短期間に、事業者への情報提供ばかり優先され、今回の提案にいたっているという点であります。 反対理由の第2は、建設費の軽減ということがPFI手法導入の目的となっておりますが、本当にそうなのか、大変疑問がある点です。建設時に支出はなく、建設後に平準化された金額を支払うということで債務負担行為62億8900万円が設定されておりますが、今までの手法で教育委員会が建設したとすれば、教育委員会財務課によりますと、起債25年返済の利子分5億5000万を含んで60億800万ということであります。現時点では、PFI手法の債務負担の額の方が大きいわけです。 県が自ら実施する場合の財政負担額とPFI方式により実施する場合の財政負担額を22年後から現在価値換算額で比較すると45億3100万円と42億2700万円となり、差額が3億400万円となり、財政負担の効果を示す指標である、VFM(VAKYUE FOR MONNEY)が6,7%になるというものであります。 この6,7%というのは、どれくらいの数字かということであります。現在まで60前後というPFI手法の導入段階で、まだ十分なその効果の程はわかっていないわけでありますが、総務部で収集しているデータからいきますと13の実例で平均VFMは、11,0%であります。6,7%、全国平均にも行かない、というのが実体であります。そして、全国で学校のケースは東京都の調布市の小学校だけのようですが、VFMは、17%。 財政負担が軽減されるといいながら、何故、この程度の効果なのか、大変疑問であります。調布市では、学校のプールを一般に有料解放し、収益事業に取り入れております。つまり、民間手法でありますから、高校のプールだって、収益事業に転換できる、特に農業経営高校でありますから、食堂だって、契約内容にはいっておりますが、一般向けの地産地消のレストラン活用だってできるわけであります。私は、それをやれといっているわけではありません。民の手法というなら、そこまで、やらなければいけないわけでありますが、結局、公教育の現場ということがブレーキになっているわけであります。つまり、公教育の現場にPFI手法をもちこむとはそういうことであるわけでありますが、本当にそれでいいのか。 だからこそ、県民世論にそれでもいいのかと、きちんと、パブリックコメントをいただかなければならないわけであります。ところが、実体は、徹底しない、官なのか、民なのか、徹底しない、中途半端さが目立つわけであります。小泉首相の構造改革路線と同じ構図であります。そんなことはなく、リスク調整やサービスの質が高くなることが大きな意味があるという訳でありますが、今は、やろうとしている生涯学習講座と食堂運営というのは、単位制高校である静岡にある中央高校の講座とどれほど変わるんだろうか、大変疑問であります。今までのどおりのやり方で十分にできるものであります。言ってみれば、静岡空港には毎年70億は出せても、学校建設、2年で50億、1年では25億円、これが出せないと言うことであります。 又、これまでのPFI手法事業には、ノウハウをもつゼネコンや商社が独占的に参加しております。県内中小企業が十分に対応できるのか、この点も未知数であります。
第133号議案でありますが、資本金1億円以上の県外法人3459社、県内法人604社に今までの累進性、応能税としての所得課税方式に4分の1を応益税としての外形標準課税方式を導入し、180億余を確保しようとするものであります。都道府県としては、基礎自治体の固定資産税に匹敵する外形標準課税ということで、悲願の税制度といわれておるわけでありますが、私は、今日の経済状況、今後の資本金1億円が守られるという保証のない中、現段階での導入に反対であります。しかも、行政改革、無駄な税支出を改めるという、その象徴的な、静岡空港の中止しようという姿勢も見せていないわけでありますから納税者の納得はえられないのではないかと思うわけであります。
第135号と136号は、東海4県が先行的に来年2月から国税の納入ができるようにするための電子署名という自治体が公的個人認証サービス制度を始める為の条例提案であります。この認証制度は、住民基本台帳ネットワークを活用しようとするものですが、この住民基本台帳ネットワークシステム自体の個人情報保護システムが、きのうの長野県の進入実験結果の公表にありますようにいくらでも侵入して個人の電子情報を強奪できることが明らかになっています。県でも、健康福祉課の生活保護情報管理など、電子情報以前の問題でありますが、電子情報の個人情報は、極めて、危険な状態にあるということであります。このネットワークを前提とした公的認証制度には、反対であります。公的認証制度は、必要があるなら、あえて、県がやらなくても、基礎自治体でも可能でありますし、民間においても、代用が可能であるわけであります。 個人情報保護法や行政機関が保有する個人情報保護法も成立していますが、その内容は、公益的な目的が設定されると、目的外利用ができる法制度になっています。一歩間違えれば、11桁統一番号で名寄せによるあらゆる個人情報を取り寄せることができる体制が作られているということであります。私は、電子政府それ自体を不必要とは思いませんが、目的外利用についての本人通知など自己情報コントロール権というものをどのように保障していくかであると考えています。電子政府の評価については、違う機会にあらためて、行いたいと思います。
第144号、第145号でありますが、これは、伊豆市、御前崎市の合併の承認を求められているものであります。私は、第1に、それぞれの自治体や合併協議会として決定してきた経過を無視するものではございませんが、その過程での合併反対という少数意見の方々が現実にいらっしゃるということに対して、その方々の意見を尊重する意味で、また、第2に、私自身、旧静岡市と旧清水市の合併の過程に関わってきまして、合併後、そして政令市に向かうその過程に大変疑問を持っており、本当に合併は必要であったのか、と考えている点、そして、第3に、この「平成の合併」といわれるこの全国的な流れが、財政問題に単を発する3300の自治体の合理化・効率化の側面が極めて強いTぽい三点の理由でこの2つの議案には反対であります。
請願の2つでありますが、子供達に行き届いた教育、ゆとりある学校、そのための教育予算の大幅な増額をという趣旨に賛同するわけであります。この財政危機のなかで、静岡空港や太田川ダムなど無駄な公共事業を一方で進めているわけですが、それらを中止すれば、おのずと財源は生まれてくるわけであります。この請願の不採択に反対であります。
以上で、反対討論を終りたいと考えます。
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