妻がまたてんぱっている。 この人はそれが何であっても締め切り前にはこういう状態になるらしい。 そういえば,結婚してこの方,締め切り前に悠然としているこの人を見たことがない。
今日は上の娘の保護者会だったのだが,それにも行けないというので, 僕が行くことにした。
妻はぱっと笑顔になったが,しかし心配そうに,
「えっ。勇気あるねー。学校の保護者会っておとうさん全然こないよ」
め,めずらしいですね,あなたがそんな心配してくれるなんて。 そ,そんなにすごいのか?
でもまあ何事も経験ですから。 小学生の父として,一度くらい経験するのも悪くないですから。
「ふーん。でも,2〜3回は気を失いそうになるよ。目がうつろになってさ」
まー,そんなことは会社では日常茶飯事ですよ。 常に社会常識では推し量れない人たちを相手にしてるんですから。 大丈夫でしょう。
と,いうわけで,学校に行って参りました。
たしかに気を失いそうになる場面もありましたが, 担任の先生にも会えたし,まー,経験としては悪くなかったってとこですかね。 一生に一度のことですからね。
などと夕食時に話していたところ,なんだか耳障りなきーきー声が。
「おとうさんは,おねえの保護者会に行ったの?」 「なんであたしのには行ってくれないの?」 「おねえばっかり,ばっかり,ばっかり」
あー,うるさい。 でも,たしかに不公平なのはいけないな。 じゃあ,あなたが卒業するまでに一度は行きましょう。
「だっておねえは今日行ったんだから,あたしもすぐに行ってよ」 「ずるい,ずるい,ずるい」
ずるくないでしょ。 おねえは5年生で初めて行ったんだから。 あなたはまだ2年生じゃないですか。
「いつも,なんでも,おねえが先なんだよっ」 「いつも,いつも,いつも…」
はー。 保護者会を買って出たから,妻の機嫌はすこぶるいいのに, 伏兵現る…。
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