妻の誕生日当日、前日と飲んだ僕。 そして、3日連続今日も飲み会なのだ。
今日も飲むって言ったらお、怒ります?
「んあー?」 「別にぃ。アンタいないとご飯ラクだし全然かまわないよー」
お、これは昨日のお菓子が効いてるんですかね。 いやー、努力って報われるんだなあ… と、気持ちも軽く出勤。
しかし、夕方になって飲み会は中止となった。
夕飯いらないっていっちゃったよな…。 とりあえず、電話いれとくか。
るるるる。
「はぁい、もぉしもぉーし」
こ、この間の抜けた声は。 上のムスメか?
「ちがうよう!いちごだよう!」
お、そうか。 声が似てきたなあ。電話にも出られるようになったのか… そうだよな、もう小学生になるんだもんなあ。 感慨深いなあ…。
おっと、感傷にひたっている場合ではない。 用件を伝えなければ。 とりあえず、おかーさんにかわってください。
「あたちがっ。あたちがちゅたえるからだいじょうぶっ」
いや、だってアナタ、未だに舌足らずだし。 はっ。 もしかして、妻が電話に出ないって言ってるのか? そうなんだな。 き、機嫌が悪いんだな。
仕方ない。用件だけ。 おとーさんは早く帰れることになりました。 だから、夕飯は…。 あ、夕飯は家で食べるけど、買って帰りますから気にしないでください。 わかった?ちゃんと伝えてくれよ。 じゃね。ばいばい。
電話を切ると、ほどなく着信。 妻からだ。 な、なんだろう、どきどき。
「ちょっとアンタ、なんであわてて切るのよ」 「私にかわらないとは、何かやましいんだねっ」
い、いえ。それはムスメが勝手に。
「ご飯あるから帰っておいで」 「それとも私のごはんは食べたくないわけ?」
いやいや、そんな。 おうちごはんがいちばんですから。 いやー、お菓子がこんなに効果的だとは思わなかったなあ…
帰宅すると、ほんとにご飯があった。 いえ、疑ってたわけではないんですけどね。 しかも、電話ではインスタントみそ汁って言ってたのに、 ちゃーんとお豆腐とワカメのみそ汁が…。 お菓子でこんなにねえ。
しかし、妻はそんなに甘くないのだった。
にこにこして僕の前にすわった妻。
「ここんとこがんばったし、3年生にもなれるし」 「それにむくんでて体調も悪いから、エステでマッサージしてもらってきたよ」 「ほーら、つるつる」 「お値段は、アンタが卒倒するから言わないけど」 「ま、お誕生日プレゼント選ぶのもたいへんだから、ね」 「そいで、そのエステって言うのが隠れ家みたいな感じで…」 「ハーブが…」 「オイルが…」 「前後にハーブティーが…」
延々なんか説明してくれましたけど、アタマに入りませんでした。 い、いくらだったんだろう。 聞きたいけど、聞かないほうがいいんだろうな。
お菓子はプレゼントとは認められてなかったんですね。
「あ、あれ?プレ・プレゼントって感じ〜?おほほほほほ」
…。
ハーブティーにあたったんでしょうか。
まいど君も真っ青ですね…。 あ、僕も真っ青か。
ふっ。
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