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2019年11月28日(木)
DC/PRG『20YEARS HOLY ALTER WAR - MIRROR BALLISM』

DC/PRG『20YEARS HOLY ALTER WAR - MIRROR BALLISM』@Shinjuku BLAZE


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cond/cdj/key:菊地成孔、key/syn:坪口昌恭、perc:大儀見元、ss/ts:津上研太、ss/ts:高井汐人、tp:類家心平、drs:千住宗臣、g:大村孝佳、key/syn:小田朋美、drs:秋元修(太郎)、b:近藤佑太
guest:
ts:MELRAW(安藤康平)、rap:Dyy Pride、Maria、QN、OMSB
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タイミングが合わなくて観るの三年ぶりとかだったんだが……あれよ、田中ちゃんとアリガスが最後だったフジ以来ですわ。リズム隊替わってここ迄トガるとは、ハヒー。三時間のロングセットも久々で膝が…腰が……。菊地さんって各ソロがはじまると、フロアからソロイストが見えやすいように体制低くしてくれるんだけど(そういうとこ好きー)あんな何度もしゃがんで膝痛くなんないのかなと思うお年頃になりましたワタシも。といえば菊地さん、今FINAL SPANK HAPPYやってるからかかなりシュッとしてますね。いやあれはBOSS THE NKですけどもね。フジのときはラブハンドルあるくらいムチッとしてたのでおおうとなる。自己管理出来るひとって素直に尊敬するなー。

……と思っていたら、新編成になってからって2017年に一度観てたことを自分の日記で知る。はあはあ(読んでる)、このときはまだ加入したてで危なっかしかったんだねー。で、近藤くんのイケイケドンドンっぷりが印象に残ったんだねー。そして忘れたんだね。おい…マジでやばいでワタシの記憶力……。まあ言い訳をすればこのときはtpとgがトラだったので、ちゃんと全員揃ってのワンマンというのはホント久々だったんですハイ。あとなあ、2017年以降親が死んだり転職したりとかいろいろ怒濤で時間感覚がかなり怪しい。どんどんこなしてどんどん忘れるテイになってますね! やばいね! やっぱ書き残しとくと役に立つな!

さて、シェイプアップされているのは主幹の体型だけではないのであった。なんだこのアップデート! フジのとき「イキのいいメンバーを見つけたらツアーに出る。そのときはすぐに報告します」といっていたんですが、その「イキのいいメンバー」というのが2017年からのメンバー、近藤くん(b)と秋元くん(drs)。そして「Ronald Reagan Other Side」でそっと出てきてソロ吹いてそっとひっこんでったtsプレイヤー……この日は最初にメンバー紹介をして、アンコール迄MCがなかったので誰? と思ったひとも多いのでは。「我々のシンジケートに加わることとなりました」MELRAWくんです。菊地さんのブロマガでもアナウンスされていましたが、高井くんの本業(会社勤め)が忙しく合流が難しい場合のトップリザーバー、とのこと。今ツアーも東京以外はMELRAWくんの登板だったそうです。

まあそういう訳で、ポリリズムのリテラシーがバッチリ装備されてる若者加入から二年経ち、ますます演奏力はあがり、ソロイストの機転でうまいこと繋いでいたファジーな箇所が減った。そうするとコンダクターひとりでは手がまわらなくなるということか、「Ronald Reagan Other Side」では坪口さんがキュー出しをする場面もあった。これにはビックリしたなー。気の狂った指揮官、というコンセプトから遠いところにきたと思い知らされる象徴的なシーン。

危なっかしいと感じるところが格段に減り、綻びが出たとしてもリカバリがはやい。プレイヤーからすればデキればデキる程新しくデキることも増えるから楽しいに決まってるし、リスナーからすればまだ上の次元があったのかと瞠目する。合奏のクオリティとしては史上最強と思われる。そこへクラシックな要素、「fkA」でのソロでラヴェル「ボレロ」のフレーズを入れてきたり、軽快なスタッカートでエレピを弾く小田さんの魅力が加味されている。結成当初はファンクバンドとも呼ばれていたような記憶があるが、今その影はない。ジャズとクラシック……しかしジャズとクラシックでここ迄リズムが「Well done」(=やりすぎ。Impulse! のひとにいわれたんだって。で、してやったり、上等じゃねえかって思ったんだって)なバンドって他にない。フロア側もポリリズムのリテラシーがあがっているし、菊地さんがクラーベでガイドを入れてくれるようになったので迷子になりにくい。秋元くんのビートも見つけやすい。「構造1」に8ビートぶっ込んできたときには「ああ、こっからも割れるか!」とヘンな声出たりしました。

そんなフィールドに、リズムが読め、機転が利き、技術+経験値+場数=無限の引き出しを備えた演奏力を持つソロイストを放ったらどうなるかという話です。津上さんと類家くんの千両役者っぷりを堪能しました。坪口さんに至っては「Hard Core Peace」前のリズムを組み合わせてる最中体操したりムーンウォークしたり、その後のショルキーソロを菊地さんの背中で弾いたり、「Hey Joe」で小田さんと一緒にキツネのお面被ったりと好きになさってました。これが通常運転ってのが最高じゃんねー(まーちゃん)! それにしても、菊地さんと坪口さんのリレーションシップってこういう表出の仕方をするのだなと今更乍ら感動した。それは津上さんの居方もそうだし、大儀見さんもそう。

「史上最強」というワードは合奏の強度のことであり、歴代のプレイヤーを否定するものではありません。この方のブログに頷いたんだけど、「昔観ていた頃はメンバー百戦錬磨な超人ばかりだったけど今は若手の鬼才に変わっていて、粘りより切れ味が上回るような印象。組織の代謝という表現が的確かは不明だけど凄い。」ということです。「切れ味」に合わせてか、PAもキレッキレにクリアでした。

それにしても、これ以上ってあるんだろうか。一度活動終了を目の前で宣言された身としては(あの日の現場の空気、今でも生々しく思い出せるよ……)こんだけ完成度高いものが出来てしまったらまた……ってなりそうで怖いわ。でもこのバンド、まだ上がありそうだからな……。このくらいになってくると、逆にフロアからミサイルとんでくんじゃねーのという一触即発感もあります。が、そのフロアにコンダクターは背中を向け続けているのだった。丸腰で。菊地さんのCDJソロとか、以前だったらヤジが飛びそうなくらい長かったけど今回は静まり返っていて、その緊張感が逆に怖かったもんね。アンコールでのフロアとのやりとりもいつ罵り合いになるかヒヤヒヤニヤニヤしてた(笑)。菊地さんの口から「モーサムトーンベンダー」という言葉が聴けたのは不意打ちのプレゼントでしたね! あー今後が恐ろしい。

「ホントは11周年を祝いたかったの。とっくに過ぎてますけど。11っていいよね、素数だし、素数のなかでも最も美しいと思ってるの。1がふたつも並んでるしね! 美しい!」だそうです。17/16の曲もやったし、素数めいた日でしたね。何素数めいた日って。SIMI LAB入りの「Mirror Balls」聴いたのは『SECOND REPORT FROM IRON MOUNTAIN USA』のリリパ以来だった。7年振りて。やーホント、ときが過ぎるのは早い。オムスくんとQNが並んでたのにもジーン。

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setlist


ツイート拝借。おーソロのオーダー順も載ってる有難いー。「Mirror Balls」のとき菊地さんがセットリストで紙飛行機つくって飛ばしたんだよね。

01. 構造1(Wサックス→オオムラ)
02. fkA(オダ→ツボグチ→ケンタ→キクチ)
03. Playmate at Hanoi(タカイ→ルイケ→オダ→ツボグチ)
04. ジャングルクルーズにうってつけの日(ルイケ→ケンタ→アキモト)
05. Ronald Reagan Other Side(ケンタ→メルロウ→ルイケ→オオムラ)
06. Catch22(ルイケ→オオムラ→オダ / ホーンズ+キクチ / Wピアノ→センジュ)
07. Circle/Line〜Hard Core Peace(タカイ→ツボグチ→オオムラ / オオギミ→ツボグチ&オオムラ)
08. Hey Joe(3キーボード / オオムラ)
encore
09. Mirror Balls feat. OMSB、QN、Maria、Dyy Pride

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「次は11周年で会いましょう」とコンダクターは去っていきました。20周年おめでとうございます。ハメられてもいいことがある。自分の神を裏切るな、自分の神に背くな。I Got Love, I Get Strong. この言葉を胸に再会を待ちます。この日の模様は録音されてたそうなので、きっと将来音源が出る筈。まずはそれを楽しみに。