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2017年09月10日(日)
SPC 20th Anniversary event 高橋徹也[10th New Album 発売記念ワンマン『Style 2017』]

SPC 20th Anniversary event 高橋徹也[10th New Album 発売記念ワンマン『Style 2017』]@STAR PINE'S CAFE

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Vo、Gt:高橋徹也
B:“KID”鹿島達也
Key:“sugarbeans”佐藤友亮
Drs:脇山広介
Pedal Steel:宮下広輔
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記念イヴェントが続いております。スターパインズカフェ20周年+高橋徹也さん10枚目のアルバム『Style』リリースおめでとうございます! いやー、いやー、すばらしすさまじかった。心眼に訴える演奏と歌、眼前に風景がぶわっと拡がる。そういう意味では聴衆に魔法をかけるバンドだなあ。催眠にかけるといってもいいか。だんだんあやしげな喩えになってきましたが、聴き手を瞬時に作品世界のなかへ引きずり込む演奏なのです。いや、すごいな……。プレイヤーに手練れが揃っているのは勿論なんだが、そういうひとらがよってたかって調子に乗れる楽曲と言葉があるからこそ。げにおそろしきは高橋さんの描写力と表現力。

こちらの思い込みもあるかもしれないが、ちょっと堅いスタート。ライヴではやりなれているものの「新譜の曲」を披露する、という緊張もあったのだろうか。それともあれかな、メンバーが登場したときすごーい静かだったんですよフロアが。SEが消えて照明が落とされる迄の時間もとても静かで。こっちからすれば「いよいよ新譜が……」とか「どんなステージが観られる?」という期待が大きくて、一音たりとも聴き逃すものか、一挙一動見逃すものかという集中度合いが高かったためだと思うが、リリパだし周年記念のお祭りらしくわーっと盛り上がればよかったか。

さて始まってみれば、今度は音の鳴りが普段と違って聴こえたことにもちょっと戸惑った。二階にいたからかもしれないが、当方SPCでの高橋さんのライヴは二階から観ることが多いので勘違いでもなさそうだ。鹿島さんの音が埋もれてる感じがしたのだが、全体の演奏はとても綺麗に聴こえる。普段(といっても昔は知らないので近年の、か)の音響バランスとは違うように感じた。新譜からの楽曲を演奏するにおいて、何か調整があったのかな。

というわけで序盤はこっちもえらい緊張して観てたんですが、鹿島さんがアップライトベース持った辺りから普段のペースになったように思いました。途中メンバーが各々チューニングしてるときもすっごいシーンとしてたのですが、準備が出来た高橋さんがにっこり笑って「今の、いい時間でしたね」とひとこと。常連のお客も多いとは思うけど、やっぱりリリパって(特に高橋さんのは)特別な雰囲気がありますね。

ライヴで練られ(なんでも初披露から17年経っていた曲もあったそう)満を持してにも程があるというレベルで収録された新譜の曲の数々ですが、スティールペダルと高橋さんの声の相性についておおお、と思うところが多かった。えーとうまく説明出来るかあやしいが、あのー高橋さんの楽曲って転調だけでなく半音上げ/下げを一曲のなかでいったりきたりする展開って多くないですか。で、それらは音符で切るというより所謂グリッサンドになっていることが多い。スティールペダルはそれにうってつけの楽器ですよね。うわっとなるのは、それを高橋さんが声でもやるところ。ロングトーンのまま上げ下げする。この揺らぎ、ちょっとズレるとピッチが合ってないとも思われかねない。さらっとやってるけどすごい難しいのではないか……自分でも何いってるかわからなくなってきてるが伝わってますか。「シグナル」「雨宿り」が顕著でした。歌詞のセンテンスの切り方も独特なリズム感、スキャットも魅力。高橋さんのうたぢからが強く印象付けられました。

リズムといえばシャッフルみたいなリズムパターンのアレンジが随所にあって、これがまあ素晴らしかったですね。素晴らしいばっかりいってるが。余談だが先週ウォルター・ベッカー逝去(はやいよ……)に伴いSTEELY DANをよく聴いていたのですが、メンバー紹介から「Aja」に入る展開のライヴ音源がすっごいこの日の演奏に重なりました。自在か! という。座って聴いてても腰が浮く。静かに聴いているのに心に波風がたちまくる。スキルを手にしたパンクっておそろしい。

閑話休題。それにしても「シーラカンス」が圧巻だった。からの〜「5分前のダンス」がハイライト。以降ハイライトが続き、「新しい世界」の転調のごとく多幸感が続くので結局どこがハイライトだったんだろうというのは高橋さんのライヴではいつものことですね…素晴らしいですね……。実は「シーラカンス」の終盤、二階で気分が悪くなったのかひとが倒れるというアクシデントがありまして、スタッフの出入りも激しくあたふたしていたのですが、ステージには影響なかったようでよかったです。てかこっちも演奏は聴きたいがえええどうしよう、てな感じで頭が忙しかったんですがその後おちついてよかった。倒れた方も無事帰っていかれたようです。この辺りになると観客もすっかりほぐれてやんややんやの喝采が起こる。「大統領夫人と棺」では出ましたダンサー高橋徹也の本領発揮、ここはわあっとわきましたねー。黒いシャツ着てたからかもしれないが、アベフトシを彷彿させる挙動にはいやーやっぱ腕脚ながいわーステージ映えするわーと妙なところに感動する。

さまざまな街の風景、さまざまなひとの日常が描かれていく。ちいさな街を散歩する、大きな世界をそこに見る。海のないプラハ、海底に沈む部屋、近所を歩く犬と老人。夕暮れ、坂道、島国、惑星、地球。宇宙迄のぼっていけるようなドローンが、犬と老人をただ見ている。空の目は、僕に降りてくる。二時間半、音による旅に同行させてもらった気分。

アンコールの「八月の疾走」は佐藤さんとデュオで。最後はメンバーが手をつないでウェーイと挨拶のあと、お互い握手。満を持して(だいじなことなので二回いう)のニューアルバム『Style』、多くのひとに届け!

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セットリスト(ご本人のツイートより12
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01. スタイル*
02. Summer Soft Soul
03. シグナル*
04. 雨宿り*
05. 曇ったガラス*
06. 愛の言葉
07. 新しい名前*
08. Praha*
09. シーラカンス
10. 5分前のダンス
11. チャイナ・カフェ
12. 新しい世界
13. 大統領夫人と棺
14. 夜明けのフリーウェイ
15. 夕暮れ星*
16. 真夜中のメリーゴーランド*
17. 犬と老人
encore
18. 八月の疾走*
19. 真っ赤な車
20. 花火*
(自分用メモ:*は新譜から。全曲やりましたね)

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・本日の名言。記憶で書いているのでそのままではありません
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-(iPhoneの機種変について)もっと年配のひとに説明するように話してください
- Wi-Fiは喰えない
- 秋晴れですね、運動会思い出します。みなさんもありましたよね? お気に入りの体操着
-(夏の暑さは)ズシッとくる暑さ
- このライヴにむけてから揚げを断っていた。ライヴ終わったらこーんなやつ(ジェスチャー)食べたい
- でもまだSmall Circle of Friendsとのツアーがあるから食べられない
- 12月31日に食べます
- それ迄はアイス喰います
-(メンバーについて)感謝してます、はい(喧嘩腰)
- 20年やって10枚、数字だけみると結構いいペースでやれてるみたいですよね。何年も出してない時期もありましたが……40過ぎてからいきなり出しはじめて、なんなんだって感じですよね。でも20年で10枚……ねえ?『許してやるか』って気にもなりますね
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「Wi-Fiは喰えない」……喰えるもののたいせつさ、座右の銘にしたいわ………。あと「何も着ないで出ようかと思ったんだけど」っていうのもあったが何の流れか忘れた。先日のLITEとフルアマの対バンで、井澤さんが「フルアマは上半身裸でLITEは下半身裸で出るんだよね」とひなっちにいじられていたのを思い出した。折しもこの日吉祥寺ではお祭りやってましたが、晩夏は裸まつりの傾向があるのだろうか

・投げキッスするの初めて見ました。貴重なものを……(手をあわせる)

・入場するなり山田稔明さんが物販しててひいっとなる。前日はGOMES THE HITMANでステージ側にいた方がお手伝いにきてる…た、たよりになる……

・井澤さんに羽田さんに鹿島さんと素晴らしいベーシスト週間でした。低音堪能

(20170919追記)

・レコ発ワンマン終了!|夕暮れ 坂道 島国 惑星地球
「制作面から予算管理までを全てひとりでオーガナイズするようになってこれで4作目」、アルバムの価格についても。音楽に対する真摯な姿勢と、それを裏付ける出来上がった作品。聴くことが出来て感謝、感謝

・高橋徹也ワンマンライブ『Style 2017』感想まとめ - Togetterまとめ
chinacafeさんいつもまとめ有難うございます! うう、読みかえすと胸が熱くなる