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2011年08月14日(日)
『SUMMER SONIC 2011』2日目(その1)

『SUMMER SONIC 2011』2日目(その1)

そういえば昨日のKORN後ジェンヌに「メンバー仲よさそうな感じねー」と言われたんだが、思えば今ジョナマンキィフィールディて同じ髪型なのな…さっき『See You On The Other Side』のときのアー写とか見てて気付いた(このときはフィールディはサラサラキューティクルみたいなストレートだったわ。そんでみつあみとかしてたわ)。……何その女子高生が同じ髪型しようね!て揃えたみたいな!なんで同じになってんだ…それ仲いい証拠なんですかそうですか。

まあいいことです。

と言う訳で2日目。今回ホントタイムテーブルと移動のやりくりが難しかった。ビーチステージとリヴァーサイドガーデンが会場の端と端、と言うのは痛かった。シャトルバスも通ってないところなので歩くしかなく、混雑のなかでの移動を考えるとどちらも中途半端になりそうなので諦めたものも多々ありました。在日ファンク観たかったよー。

そしてひとが多かったこと!特に日曜日は完売していたので覚悟はしていたが、過去いちばんの人出だったような…と言うか、散らばらないんですよ、客が。フジでもそうだったけど、RHCPが出るとやたらひとがそこに集まっちゃう。嬉しい反面なんとかならんかのうと思ったり…しかしどうしようもないのか……。

と言う訳で、夕方マリンステージへ入って以降はそこから動けなくなりました。出たら再入場出来なくなるかも知れなかったので。RHCPが終わってからの退場にもとても時間がかかったわー。嗚呼、ポップグループ…ジョンスペ、スウェード……(泣)。

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昼に集合、メッセでごはん等を食べONE OK ROCKをチラ見。森進一さんの息子さんがヴォーカルのバンドだそうで、確かに?歌がうまい、そして「おめーらサマソニ楽しんでるかー!」「最後迄聴いてってくださーい!(敬語)」と言ったMCのバランスが面白かった。きっといい子。

いちばん暑い時間帯。でもビーチステージへ行くのです。yanokamiが出るから。4年前に買ったteam yanokamiのマフラータオルをつれて行った。

この日は当初ポツネンの『THE SPOT』とハシゴする予定だった。震災と小林くんの怪我で二度延期になった振替公演日が、サマソニとまるっきり被ってしまったのだ。天王洲で『THE SPOT』マチネを観てから幕張へ移動して、サマソニには夕方くらいから参加出来れば。RHCPには間に合うだろう。yanokamiはきっとまた観られる機会がある。年末の矢野さんのさとがえるコンサートに、ハラカミくんがゲストで出ることもまたあるだろう。そう思っていた。

その機会は、なくなってしまった。

勿論舞台もその日そのときだけのもので、同じものは二度と観られない。しかし、小林くんの怪我はきっと治る、これからも元気でいる、長生きする、新作がまた観られると信じることにした。

エレピのサウンドチェック中。ステージにはU-zhaanがいた。温度や湿度でチューニングが狂いやすい繊細なタブラをいたわるように設置している。twitterでのとぼけた発言からは想像もつかない、いや、あの日以降の発言からは想像出来る。音を届けるために万全の準備をする、真剣な表情。PAとやりとりをし乍ら音の返りをチェックした彼は「バッチリです(完璧ですだったかも)」と言ってステージ袖に消えていった。

ステージMCはブライアン・バートン-ルイスだった。今回の経緯を少し説明して、ハラカミくんに世話になったと言う話をし、「きっと彼は今日ここに来ていると思います」と言った。

矢野さんが出てきた。笑顔。卵形のマラカスを両手に持って、スタンドマイクの前に立った。何度も聴いた、あのトラックが流れてきた。

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セットリスト

01. 終りの季節
02. David
03. 曇り空
04. Bamboo Music
05. cape(rei harakami × U-zhaan)
06. Don't Speculate(yano × U-zhaan)
07. ばらの花(yanokami + U-zhaan)
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「終りの季節」後、エレピに向かってハラカミくんのトラックとともに「David」。終わってMC、「こんにちは、yanokamiです!今やった『David』と言う曲は、今回都合が悪くて来られなかったyanokamiのメンバー、レイ・ハラカミが是非サマーソニックでやりたい、と言っていた曲だったのでやりました」。

「次はユーミンの曲です」と「曇り空」。そして「デヴィッド・シルヴィアンと坂本龍一の曲です。このカヴァー、坂本龍一に聴かせたら『いいねえ!』と言ってくれました」と「Bamboo Music」。どちらもあの音がバックトラックで鳴らされた。コーラスも入っている。あの声だ。

その後「『Bamboo Music』はiTSで発売もされてるんですのよ。買ってくださいねっ」「レイ・ハラカミとの共同作業で作った曲のストックはまだまだあります。出来上がっている曲も、出来上がっていない曲もあります。出来ている分は必ず発表していきます。発表されたとき『レイ・ハラカミ…?誰だったっけ……?』なんて言わないのよ!忘れちゃわないでね!」笑顔で、おどけた調子で話す。

2010年版team yanokamiのマフラータオルを掲げて「これ、3色全部持ってるひといる?いないのー?」しばらくして手を挙げたひとを見付けたようで「あら嬉しい。グッズ、もうこれで最後になっちゃうのかな、さびしいねっ」とポツリ。この辺りの物販告知トークはふたりの噛み合わない(笑)ボケツッコミなやりとりが面白かったところ。だけど今はその相手がいない。「今回(告知もMCも)ひとりで全部やらなきゃいけなくて大変なのよ」と言っていた。あとどこだったかな、「普段は、ここに、重箱なんだか何なんだかわからないものを前にして、レジ打ってるんだか何やってるんだかわからないことをしてるひとがいたんだけど…」とも言ってたな。ハラカミくんは自分のライヴでの演奏を「孤独なレジ打ち」と表現していた。

矢野さんのおしゃべりは終始明るくカラッとしている。矢野さんは強い。しかしその本当の強さと凄まじさは演奏と歌のなかでしか表現しない。追悼の思いも、彼の作った音楽を完璧なコンディションで観客に届けると言った意志も、音以外の説明等で付加しない。全ては音楽に込める。それはその後現れたU-zhaanもそうだった。

U-zhaanが出てきた。紹介しつつ矢野さんが「ユザーンさんはどこにアクセントをつけて発音すればいいの?」と訊くと「そのままです」。「……(むむ)平坦でいいのね?」「はい、日本語の感じで」。ははは、この噛み合わなさ。ハラカミくんとのやりとりを思い出すね(笑)。そのうち「チューニングするんでしばらく喋っといてもらえますか」。このそっけなさ、久保ミツロウさんがツイートされてましたが正に「音楽以外では心通わない感じ」。音楽で心が通えば充分なのだ。と言う訳で矢野さん、場繋ぎでタブラの説明を始める。「このタブラと言う楽器はとても繊細な楽器で、昨日リハのとき触らせてもらったんですけど、あの真ん中の黒い部分を…」「はい、出来ました。もういいです」。観客爆笑。「(ムッ)あらそうお?」と言った矢野さんのふくれっつらがかわいかったな。この間ずっとU-zhaanは真顔でした。演奏への意気込みか、緊張すると無愛想になるのか、いや両方でしょうね(微笑)。

一触即発(笑)なプロレス的様相を呈しつつ、矢野さん一旦退場。U-zhaanが「それではハラカミさんの曲をやります、『cape』」と言い、間髪入れずトラックが鳴った途端に場が一変した。U-zhaanの表情も、まとう空気もガラリと変わった。野外で、雑多な音もバックステージや他のエリアから聴こえている筈なのに、あのときあの場ではハラカミくんのトラックとU-zhaanのタブラの音しか鳴っていないようにすら感じた。と言うか、ハラカミくんがいるなあと思った。思ってもいいよね。あのときU-zhaanはハラカミくんとセッションしていた。きっとふたりしかいない世界だった。U-zhaan、とても格好よかったです。

それにしても、この「cape」すごいいいですよね。もともとあるトラックにタブラの音を載せていく演奏ですが、あれ以上足したり引いたり出来るか?とすら思ってしまうハラカミくんのトラックに、まるで以前からこの音が入っていたかのようにタブラの音が馴染む。ハラカミくんとU-zhaanが過ごした数年のやりとりがこうやって実を結んだんだなあと思ったりしました。これからもこの曲は演奏されていくと思うけど(思いたい)、U-zhaanとともに曲も歳をとっていくんだろう。その経過を聴いていきたい、絶対に。

矢野さん再登場。「次の曲『Don't Speculate』は結構前に音はもう出来ていて、歌詞を書こうとしていたところ震災が起こりました。ハラカミさんはこの震災のことにとても胸を痛めていました。そんな彼を元気づけようと歌詞を書きました」。今回はそのトラックは使わず、矢野さんとU-zhaanのセッションで演奏。これがすごくよかった。曲は勿論、その歌詞も、ふたりの演奏も。矢野さんとアイコンタクトをしたU-zhaanが初めて笑顔を見せた。音楽で、音楽だけで心を通わせたんだなあと思った。どちらもいい顔をしていた。

そして最後に「ハラカミさんを知るきっかけになった曲です」と「ばらの花」を3人の音で。“暗がりを走る 君が見てるから”のラインを、矢野さんは張りのあるよく通るソプラノで力強く唄い上げた。“思い切り泣いたり笑ったりしようぜ”を優しく語りかけるように唄った。矢野さんもU-zhaanも笑顔。

「U-zhaan! and rei harakami!」矢野さんが大きな声でメンバーを紹介し、ハラカミくんがいるであろう場所に拍手を送った。

他の誰も入れない、音楽家同士でしか出来ないやりとり。そして音は残り生きていくと言うこと。それを見せてもらえて、聴かせてもらえて感謝の気持ちでいっぱいです。あの日、あのときあの場所にいられてよかった。有難うございます。