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2008年12月10日(水) ■ |
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『箱の中の女』初日 |
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音楽劇『箱の中の女』@シアターコクーン
おおこれはいいですよ!と言うかこんなにするする頭に入ってくる岩松了作品は初めてかも知れない!そして水橋くんがすごいいい役もらってます、キーマンです、あああ有難う岩松了!(敬称略が敬称)
岩松了で音楽劇、と言うと昨年の『死ぬまでの短い時間』が結構気難しいもの(いやでも好きだったなーこれ)だったので、同じようなものをコクーンでやるには厳しいのではないか…と思っていたのですが、そこは一青窈さん、小林武史さんと言うどメジャーなひとたちと組むことで、バランス良く提示されていたように思います。運命的に出会った男と女のあれこれと言うのは定番ですが、今回それがミステリーとしても観られるようになっています。ちゃんと謎の部分を説明してくれる親切さもあり。「見えないところで何かが起こる」「段差がある」「水」と言うモチーフは健在。ジョン・ウーにおける鳩のように、出てくるとホッとするしニヤニヤします。
そして一青さんがまた巧い。ステージ慣れしてるとは言え、初舞台とは思えない。岩松作品特有の、ファムファタルと言えば聞こえがいいが芝居がかり過ぎてイラッとすんじゃおまえー!と言う女性像に見事に親和性を持たせています。台詞が立て板に水。岩松節をこれだけ自然に語れるひとって役者でもなかなかいないと思います、これには驚いた。謎めいてい乍らイライラピリピリに理由付けが見え(ここ迄ハッキリ見えるのは岩松作品では珍しいのではないか)、それが焦燥感として表現されている。共演者との距離感もいい。
それにしても一青さん小柄!華奢!客席エリア使いが多く、何度も近くの通路を通りましたがすごーいちっちゃいの。しかし存在感は抜群。カーテンコールでの男前っぷりも格好よかったですよ。
杉本さん(軽妙に舞台をまわしてくれます)を中心にいい座組になっています。ダンス的なシークエンスがあり(しかも八百屋舞台)、結構身体を使う部分が多い。そこは村杉さんが光ります。身体が切れるし、所作が美しい。大人計画とかナイロンのひとってやっぱり巧いし、舞台で見せる身体と言うものを体得しているよなあ。外部で観るとよく判る。山中さんと水橋くんは『八月の幻』チームだねー!久々に共演を観られて嬉しかったです。柏原くんはちょっと声がこもるところがあったけど、出演者中唯一一青さんと一緒に唄うシーンは歌声が馴染んでいてとてもよかった。
で、水橋くんですよ。『バット男』以来4年振りの舞台出演。まずコクーンクラスであれだけ声が通ったのに驚く。しかもそれが無理なく聴こえます、張ってる訳ではないのに綺麗に通る声。『バット男』の時とは明らかに発声が変わっています。しかもあなた、ネタバレ故反転→マフィアの役ですねん!しかも紳士!上品!白いスーツも板についていて、舞台では大きく見えました。背中もしっかりしているし…最初判らなかったもんねー。だって映画の舞台挨拶とかで見るとちっちゃめでかわいい印象だし。まあそれは隣に大きなおーもりくんがいることが多かったからかも知れないが(何年前の話だ)。舞台にひとり立ってモノローグのシーンもあるのですが、観ていてヒヤヒヤしません(笑)いや、舞台慣れしてないひとのモノローグってこっちもリラックスして観れなかったりしますやん…それがもう凪のような落ち着きで、自然に観ていられる。
おーもりくんが「マヤ…恐ろしい子!」と言ったのも頷ける。言ってません。でも似たようなことは言ってたんですよね、「北村(有起哉)と水橋には叶わないと思うことがある」と。するりと役に入り込んでいるように見えてしまいます。思い出を懐かしみつつそこから離れられない諦観を感じさせる、兄とのエピソードを語るシーンがとてもよかった。
初日故ちょっとした小道具トラブル(だよなあれ…)があったり、ミュージカルでもないから歌のあとどうすんだ?と言う観客の戸惑いを感じたり、笑えるシーンなのに笑っていいんだっけ?と言う空気があったりしましたが、初日でこの出来ならこれからは良くなる一方ではないでしょうか。風邪と怪我には気を付けてー。
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