淑子の見た母の夢
未明に目覚めた淑子の夫、潮は日課になっている中国語の勉強のためにボイスレコーダーのマイクを耳に当ててラジオ中国語講座の復讐をしていた。突然、潮は隣に寝ている淑子が夢でも見ているのかうわ言を言ったのをはっきり聞いた。
「お母さん生きているよね。殺されたんじゃないよね。お母さんお姉さんのところへ行くの、送ってあげようか」そして泣き声が聞こえた。
潮は黙っていて心ゆくまで泣かせてあげようと思った。
飼い猫の黒猫が空が白んできたのでニャーと鳴いて餌を催促しているのが聞こえた。 「スディンちゃん、オシッコを教えにきたのね。今御飯をあげますからね」と言いながら淑子が起き出していく気配が聞こえた。
潮は素知らぬ顔をしてイヤーフォンから流れる声に聞き入っていた。
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