◆「世界」The World [中国/2004年/133分] 監督:ジャ・ジャンクー
ジャ・ジャンクーの新作は、今までの地方を離れて、大都会北京が舞台だ。舞台は違っても、行き場無く出口を求めてもがく、ひたむきな若者の姿を描くことは同じ。
北京にある“世界公園”という世界の名所のミニチュア建造物を集めた公園−−日本で言うなら“東武ワールドスクエア”を大規模にしたようなものーーで、ダンサーとして働く主人公タオを中心に、彼女の周りの人物も含め、煮詰まった日常が映し出されていく。
人工的な似非ミニチュア世界の中で、外の世界に思いを馳せるタオ。 そんな中、外国に行くという元カレが挨拶に来る。ちょっと焦る。 逆にロシアからの出稼ぎダンサーが職場に加わり、知らない世界を垣間見せてくれる。 現在の恋人との仲も不安定で、次のステップになかなか進めない。 寮で同室の女性は結婚することにより、日常からの脱出を図る。 もうひとりの同室の女性は上司とつき合い、出世の道を見いだす。 外国に連れて行ってやる、色々買ってやると言ってくれるのは、エロオヤジだけ。 現カレとついに結ばれるがやはり行き詰まり、結婚で打開を図ろうとするも、カレの裏切りが発覚してまた落ち込む。 どうとでも取れるラストまで、あぁ、煮詰まってる〜。
ジャ・ジャンクー映画に特徴的な、美しくて力のある長廻しが相当好きだ。 アニメーションには驚いたが、決して浮いていなかった。
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