表身頃のココロ
ぼちぼちと。今さらながら。

2005年01月25日(火) 「堕天使のパスポート」

◆ 堕天使のパスポート
Dirty Prettey Things
[イギリス/2002年/97分]

監督:スティーヴン・フリアーズ
脚本:スティーヴン・ナイト
出演:キウェテル・イジョフォー(オクウェ)、
オドレイ・トトゥ、セルジ・ロペス

スティーヴン・フリアーズ監督は「マイ・ビューティフル・ランドレッド」でイギリスの移民社会を描き、「グリフターズ」で詐欺師を描いていたが、このふたつの世界の幸福なドッキング + より洗練された語り口とより深い洞察により作り上げられたこの映画、佳作といっていい上質なものだった。
「グリフターズ」を引き合いに出すのは、ちと強引かとも思えるが、ラスト間際の鮮やかな逆転劇で、やはり思い出されてならなかったのだった。

脚本は昨年のアカデミー賞脚本賞にノミネートされるも「ロスト・イン・トランスレーション」が受賞。「堕天使〜」の方が優れているような気がするが、審査員のソフィア好きもありしょうがないところか。

主役のオクウェは高潔な人物として描かれ、コカの葉を噛みながら昼も夜もなく働き、話を引っ張り続け、様々な場面に顔を出し、異郷に住む人々の現実をいろんな角度からあぶり出す。
ずっと張りつめたまま突っ走り続けた彼が、最後の最後に見せる安堵の姿に、彼のその後の安全と幸福を祈らずにはいられない。

出てくる人間は皆難民・移民・不法入国・不法就労者ばかり。助け合う側も、搾取側に立つホテルのオーナーも縫製会社の経営者も皆移民というのは皮肉な現実なのだろう。
シェナイ(オドレイ・トトゥ)はトルコ難民として認定を受けたというのでクルド人という設定なのだろうか?オドレイ・トトゥはエスニックな顔立ちだがクルド人というにはちょい甘顔かもしれない。が、ものっ凄い訛りの英語はトルコ訛りなのだろう、と・・とにかく頑張っていた。やはり、世間からはみ出した系の役柄がとても似合う。


(at ギンレイホール)


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