表身頃のココロ
ぼちぼちと。今さらながら。

2005年01月23日(日) 「岸辺のふたり」

◆ 岸辺のふたり
Father and Daughter
[オランダ・イギリス/2000年/8分]

監督:マイケル・デュドク・ドゥ・ヴィット
音楽:ノルマン・ロジェ、ドゥニ・シャルラン
2001年アカデミー賞短編アニメーション賞受賞作。



たった8分にの小宇宙にため息。
音楽と映像のみの語り、洗練された線、光と闇の美しさ、シンプルに反復するモチーフに凝縮された娘の人生がラストに繋がる見事さ。
アニメはあまり得意ではないが、この映画の静謐で繊細な世界に心から脱帽、打たれてしまった。

併映された、短編「Tom Sweep」「The Monk and the Fish 」は子供向けなので多少の退屈さは否めないが、この「岸辺のふたり」に至る要素を垣間見ることが出来る。
モーニング/レイトショーで800円。決して高くないぞ。


●ネタバレあり

すべて素晴らしいのだが、特に残って離れないのはラスト、父に再会した時の娘の年齢。
娘の人生の終わりの時、父との再会は、離ればなれになった幼少期当時の姿でもなく、現在の老いた姿でもなく、若く溌剌としていた時の姿だった事は、私の感情をダイレクトに刺激してしまうのだ。今、思い出しても滂沱の涙がぁぁぁ〜。

映画のはじめは海もしくは湖だったところが、だんだん干上がって行き、ついには陸となり草地となりラストにつながっていくわけだが、そこで「オランダの光」というドキュメンタリー映画を思い出した。
レンブラントやフェルメールなどのオランダ絵画に描かれた光は特別なもの・・それがいまや干拓事業などで干上がった土地が増え、古来の光が失われてしまった・・・という説を実証しようとしていた映画だ。
そんなお国柄ゆえ、浮かんだストーリーなのかなととも思う。


(at テアトルタイムズスクエア)


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