2004年11月27日(土) |
フィルメックスその5「プロミスト・ランド」+ガイマディン |
げっ!5日も通っているのか・・。
◆ プロミスト・ランド Promised Land [イスラエル/2004年/90分]
監督・脚本:アモス・ギタイ 出演:ハンナ・シグラ、アンヌ・パルロー、 ロザムンド・パイク
今やフィルメックスのおなじみさんとも言うべきアモス・ギタイ作品。 今回は特別招待作品としての参加だ。
今回は実際に存在するという人身売買ネットワークがテーマ。 手持ちカメラのドキュメンタリータッチで人身売買ネットワークの現実を提供しながら、ある程度節度ある表現だったと思う。 やはり力のあるカメラは非常に魅力的だ。
ベドウィンの案内で、砂漠を越え国境を越えアラビア文字の地域を越え、最後にたどり着いたのがイスラエルの「プロミスト・ランド(約束の地)」という安ホテルというのは、大いなる皮肉だ。 かつてモーセが民を率いてエジプトを脱出、長年にわたる彷徨の末に“約束の地”イスラエルに到着したルートとは全く逆になる。 現代のエクソダスは、希望から絶望へなのか。
映画は美しい砂漠の光景から始まる。 砂漠を越え人身売買組織へ女達を受け渡し終えた時、ベドウィンの民が無事仕事を終えた感謝をアッラーの神に捧げるのが可笑しい。 その中継地点で待ち受ける人身売買組織要員は、到着した女ひとりひとりを競りにかけていく。それを仕切るのが、アンヌ・パルロー。いわゆる遣り手婆だ。 女達は買い手ごとにそれぞれの地へ分散されていく。カメラはアンヌ・パルローのルートを追う。東欧と思しき国からそれぞれの事情で身を売る女達は最初はちょっとした旅行気分だ。が、すぐに人としてではなくモノとして扱われる現実に直面する。次第に感情の麻痺が始まる女達。 その中で生身の感情を持ち続ける女にフォーカスが移っていく。たまたま出会った売春宿見学の女(ロザムンド・パイクが美しい〜)との交流あたりからトーンが変わり第二の物語が転がり出すが、ちょっと甘さを感じてしまうのは私だけか。
映画の安ホテル=プロミスト・ランドは、車の自爆テロと思しき爆発で壊滅状態になり、ちょっとした希望で終わる。イスラエルの未来も希望で終わって欲しいものだ・・などとたやすく言うのは対岸の火事的発想で書いてちょっと恥じてしまった。
トークショー 世界で一番奇妙な映画〜ガイ・マディンの魅力に迫る
今年のフィルメックスでガイ・マディン監督を始めて知り、そのあまりの面白さ・魅力に転げ回りたい衝動に駆られている。 →事前上映会の感想 ちょっと傾向は違うが、フランソワ・オゾンを「ホーム・ドラマ」で初めて見て、その後「海を見る」「サマー・ドレス」でショックを受けて魅了された時の感覚に似ている。 しかし、オゾン監督はその後、違う角度からの作品を作り洗練を遂げ現在に至っているが、ガイ・マディン監督は絶対に彼独自の世界観を変えないと思う。いや、絶対はありえないけど。
さて、現れた監督はごく普通の節度ある大人のように見える。 1956年生まれの48歳。表面的には丸くなる時期かもしれない。
淡々とQ &A が進む。
次回作は、イザベラ・ロッセリーニ主演の短編だそうだ。 彼女の父、ロベルト・ロッセリーニ監督の生誕100年祭(2006年)に寄せて、娘のイザベラが父に送る手紙・・という形だそう。イザベラ嬢、よほどマディン監督が気に入ったようだ。
また、ハリウッドからリメイクのオファーを受けているそうである。作品名は明らかに出来ないけれど、ヒントは1976年制作。登場人物はグレッグとペニー(あれ?ペギーだっけ??)だそうだ。IMDBのキャラクター検索でざっと見てみたが分からない・・・名前は私の記憶障害のため違っているのかも。 ・・とにかく。これを受けることになったら、今までの手法は捨てることになるかもしれない。が、結局うまくいかずにやめることになるだろうと謙遜。実現したら楽しそう。サイト名
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