嗚呼!米国駐在員。
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2005年09月21日(水) 成田空港から出ない日本人

只今、成田空港のUNITEDのラウンジ。

これだけ広いラウンジはかつて見たことがない。食料や雑誌の充実感はないが、スペース及び高級感は十分であり、米国の顧客が満足する造りになっている。大型テレビ画面にはCNNとメジャー中継。我々日本人が海外で日本人の集まりでほっとするように、アメリカ人が窮屈な不思議な国から我が家に戻ったかの如くにリラックス。フルーツをかじりながら、パソコン画面など開いている。

それにしても成田空港は気温が高い。というより、アメリカの空港が冷房効かせすぎなんだろう。本当にあの国はエネルギーの無駄遣いばかりだ。


上海から成田までは全日空、成田からはUNITED。今回、日本での国際線乗り継ぎというのを初めて体験した。

全日空機を降りて乗り継ぎカウンターに向かう。
STAR ALLICANCEのカウンター前で、担当の女性が少々イントネーションを意識した独特の英語で話しかけてきた。

「NEXT、プリ〜ズ。」

エアカナダに御搭乗ですか?と英語で聞いてきたので、日本語で「いいえ」と答えると、「WHICH AIRLINE、サ〜?」と言って来た。「UNITED」と言うと、ベラベラベラと英語で機関銃のように話し出した。

この人、日本人じゃないのかな。と思って名札を見ると、コテコテの日本人苗字だ。

悦に入った英語を恐縮ながら遮って、「あの〜、日本語でいいですよ。」と言うと、

「えっ!?いやっ!?恥ずかしぃ〜。日本人のお方でしたか。だって、こちらにこられるのは外国人のお客様ばかりなんですもの。」
と言って、横にいるスタッフと大爆笑。

悪かったな、日本人で。

と、思いながらもこちらも笑ってしまった。確かに回りには日本人はいなかった。そういや、海外から日本経由で一度も出国せずにまた外国に行く日本人ってのも珍しいだろうな。


言われたままに、第2ターミナルから第一ターミナルへとバスで向かう。
30分に一本しかなく、実に不便。このバスに乗ったのは、自分以外には欧米人4人だけ。バスに乗る前に、コテコテの係員のオッサンが来て、

「しぐにちゃあ、プリーズ」

と一人一人に名前を書かせていた。満面のJAPANESE SMILEだ。

前にいた上品そうなアメリカ人紳士が「WHY I NEED TO SIGN HERE?」とおっさんに聞いた。

おっさん、なんと答えるのか。

と、全く相手を見もせずに、「分かりません。分かりません、何言ってるか。とにかく、サイン、プリ〜ず。(発言そのまま)」と言って、紙とペンを紳士に押し付けた。紳士もしぶしぶサイン。強いなあ、このオヤジ。

自分もなんでサインするのか分からなかったのでこの紳士に理由は説明はしてあげられなかったのだが、国外扱いの人間を建物の外に出すのだから、おそらく日本流の管理をしたという事であろう。ちなみに、異国であろうと、疑問はすぐに問い合わせをするこの紳士の対応は素晴らしいと思う。


おっさんは、自分にも「サイン、プリ〜ず」と言ってきたので、サインを済ませてから、「トイレに行きたいんですが、すぐに出発ですかね?」と日本語で聞くと、さっと笑みが消えて、

「すぐ出ますから、乗ってください。」 と、突然冷たい対応。

悪かったな、日本人で。


Kyosuke