嗚呼!米国駐在員。
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2005年08月17日(水) ガソリン代高騰でもアメリカ人に節約は不可能だ

先週、原油価格がバレル$67.10の最高値を記録し、それに伴いガソリン価格も急ピッチで値段が上がってきた。

今週に入り、どのスタンドも軒並みガロン3ドルの表示が出ている。


2003年にアメリカに赴任してきた時は確かガロン1.5ドルだったから、この2年で倍になってしまった訳だ。報道によれば、数年後にはバレル$80、ガソリンはガロン5ドルに到達するかもしれないといっており、庶民にとって益々状況は厳しくなりそうだ。

言うまでもなく自動車はアメリカ生活の必需品。マンハッタンなど一部の都市を除いて、アメリカで生活する以上、ガソリンが高いから車を乗るのを控えるということは出来ない。家から一歩も出なければ別だが、車に乗らねば買い物にもいけないのだから、ガソリン代値上げは家計を圧迫するのは間違いない。


テレビやラジオ、新聞でも連日このニュースが取り上げられている。
決まってインタビューされた買い物に来た庶民やトラックの運転手はこう答える。 

「馬鹿げているよ、まったく。 家計が圧迫されてしょうがない。一体どうすりゃいいんだ。(Crazyを連発)」

そして、ほとんどの人は外食や買い物を減らして対処して節約を心がける、と、これまた決まったように言われている。 なんだか、ガソリン代高騰にかこつけて色んな話がでてくるなあ、と思っていた矢先に見つけた今朝の新聞記事。

40〜50代くらいの女性。老齢の母親の面倒を見る為、これまでは週に2回両親の家に訪れていたが、ガソリン価格の高騰の為、今後は週に1回の訪問にするという。

「母親は寂しがるけど、もうこれ以上はガソリン代を負担出来ないわ。」

写真を見ると燃費の悪いジープチェロキーに乗っている。その大きな荷台に抱えきれないくらいの買い物袋を突っ込んでいる。

オバサン、それは違うだろう、って。
何でもガソリン代のせいにしちゃ駄目だって。


アメリカ人というのは、こんな記事を見て、
「ガソリンの高騰が家族の絆を阻む原因となっている。これはひどい。早速政府に働きかけて、せめてアメリカ向けの原油だけでも安く調達してもらうようにしなくっちゃ。」 などと思うのだろうか。

面倒を見られていた母親だってたまらない。ガス代無駄だからって世話してくれる回数減らされたんじゃあな。



メディアはあれこれと騒いでいるようだけど、いくらガソリン代が高騰しようと、君達アメリカ人の節約は無理だと断言したい。

この7月。GM、フォード、クライスラーのビッグ3は、売れずにあふれ返った在庫車を一層する為に従業員向けの特別割引制度を一般に適用した。その結果、よくても150万台そこそこである月間販売台数が、一気に180万台という史上最高の販売台数記録となった。

アメリカ人ってのは、いくらガソリンが上がって節約しようなんて思っていても、目の前で「今なら安いですよ。大幅割引ですよ。」と言われれば、バカでかいだけで燃費のクソ悪い米国車のSUVの新車をあっさりと買ってしまうのである。そんな国民性なんだから、これまでと比べて週に数十ドルの余分な出費の為にライフスタイルが変わるわけがないと思うのだが違うだろうか。

まあ、そんな大雑把も好きなのだけど。



Kyosuke