嗚呼!米国駐在員。
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2005年05月07日(土) 米企業のボイスメッセージのシステム、反対!

アメリカの職場では、わが社も含めてだけども個人ボイスメールが主流である。
話したい相手の直通番号もしくは内線に電話すると、呼び出し音の後に、不在であれば留守電につながる。

このシステム、営業する立場からするとあまり好ましくない。

一見便利なようで、こちとらその相手が休暇なのか電話中なのか出張中なのか、全く知る由もない。ひどいのになると、呼び出し音もなくいきなり「This is Bob, please leave your message.」と、突然ボイスメッセージが流れる。こうなると、いてもいなくても最初から全く電話を取る気も無し、自分が話したい相手だけにかけ直すだけ、というのが明らかである。

日本の時は、同じセクションの誰かが電話に出てくれたから、相手が不在であればいつ戻ってくるか、出張なのか、会議中なのか、丁寧に教えてくれたので、こちらも相手の動きを掴みながら仕事を進められた。
また、わざわざ電話をかけるのもどうだという関係だけど、ちょっと話を聞きたい取引先の相手がいたとする。その人が、たまたま電話なんて取ってくれたら、電話つなぐ前にちょっとだけいいですか、なんて、うまく話しをする事が出来る。
いきなり個人ボイスメールでは、そんな情報の取り方もできない。

特に急ぎの案件があった場合は不便である。日本は電話に出てくれた人にとりあえず用件を伝えると、誰かが何らかの形でフォローしてくれたものだ。個人ボイスメールでは、そんなことも頼めない。まあ、仕事の分担がはっきりしているアメリカでは、同じ会社であっても他人の仕事を手伝う事はどのみちあまり期待も出来ないかもしれないけど。

つまるところ、電話がボイスメッセージにつながるということは、メールのやり取りとなんら変わらない。相手が自分のメッセージを認識しているのかどうかも分からないし、相手からの返事を待たねばやりとりが進まない。

とにかく営業という一方的な立場から見れば、本当に不便なのである。そんな事情を知らぬ日本の本社からは、「早く取引先と連絡とって下さいよ。話くらい出来るんでしょ。担当はいるんでしょ。いつになったら話進めてくれるのですか!」なんて矢の様な催促がくる事があるのだけど、こっちだって毎日電話してメッセージ残しているけど、相手がいるかどうかも分からないのだからしょうがないじゃないか、と言いたいのである。

2ヶ月ほど前、ある客先の米人に必死にメッセージ残し続けても返事がない。たまらず同じ会社の他部署の人に会う機会があり、あの人どうしちゃったの?と聞いたら、とっくに退職したよ、だって。そんな場合もある。

そうはいいつつ、電話を受ける立場になれば便利だと思うこと1つだけある。自分の場合は、相手のメッセージを何度も繰り返し聞くことが出来るので、英語力不足によるおかしなコミュニケーションのミスを減らす事が出きる。でも、その程度。電話の相手が留守電になれば、わざわざメッセージを残す人の方が少ないだろうし、やはり会社トータルとしてはデメリットの気がしてならない。また、自分自身も同じ会社内でありながら他のスタッフの電話を取ることはないので、他人の担当先がどんな感じの人なのかもさっぱり分からない。

でも、そんな事を主張すると、「人の電話なんて取ってるから日本人は仕事がすぐに終わらないんだよ。」なんて、また同僚の米人から言われそうである。



Kyosuke