嗚呼!米国駐在員。
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上司から、「アメリカは気に入っているか?どうだ?」というような事を突然聞かれた。赴任して2年、初めてのことである。
自分は答えに窮してしまった。
言葉通りにとらえれば、「気に入っている」とはっきりといえると思う。ところが、聞いてきた相手は職場の上司だ。言外に含まれた「仕事は満足しているか?」というメッセージを見逃すわけにはいかない。
実は、今の仕事内容は色々な事情があってあまり満足してはいないのである。 この言外のメッセージに気がつかずに、バカ正直に「気に入っていますよ」なんて答えようなら、アイツは仕事も生活も伸び伸びやっている、なんて勝手な判断をされかねない。
本来なら、アメリカは気に入っていますが、今の仕事内容については・・・などとしっかり自己主張すべきなのだろう。ただ、この会話を交わしたのは、酒も入った晩飯の時の出来事であった。この上司の性格からして、所詮酒の席で何を主張しても翌日にはすっかり忘れてしまうだろうし、たとえ覚えていても酒の席での事だから、などと体よく片付けられるのがオチである。それより、そんな大事な事は、こんな席で気軽に話したくはないのである。
また、仕事についてもたかだか2年程度の実務経験しかしておらず、現時点でたやすく不満を口にしたくないという事情もある。しかも利害関係バリバリの上司に対して。あと1年は取り組んでみなければ見えてこない事だってあるだろう。
ほろ酔い加減の中、頭をフル回転させてそんな事を考えていると、いつしか別の話題に変わっていた。
所詮、こんなものである。 考えすぎて損をした。
Kyosuke
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